「自分と官職はイコール」を取り入れた『真田丸』
自分と、いただいた官職はイコールの存在なのですね。そこのところに注目して、大河ドラマで取り入れた作品が『真田丸』です。
それまでの大河ドラマでは、たとえば真田幸村の父親の昌幸を、「昌幸殿」と呼んでいた。
昌幸だけではなく、みな「家康殿」「信長殿」「秀吉殿」と呼んでいたのですが、『真田丸』ではこれをやめ、昌幸のような安房守は「安房殿」、劇中では信繁ですが、真田幸村が左衛門佐(さえもんのすけ)をもらうと「左衛門佐殿」と呼ばれる。石田三成であれば治部少輔(じぶしょうゆう)殿。ただこれは読み癖があって「ゆう」は読まず「じぶのしょう」となりますが。
そのように、武士にとってまさに自分を表現するものが官職でした。だからこそ官職は、土地を与えられるのと同じほど、家来として命懸けで仕えることに値するごほうびだったのです。