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「SLAM DUNK」が中国を席巻したのも今は昔。北京大生が「日本アニメは衰退」と書くのは必然だ

北京大学准教授が伝える「中国人の日本観」(前編)
古市雅子(北京大学准教授)
「SLAM DUNK」の舞台として訪問する中国人観光客も多かった江ノ電の踏切(写真提供:写真AC)
かつて中国国内では日本の映画がブームを起こし、アニメは社会現象になった。しかしメディア環境などの変化に伴い、日本のサブカルチャーは急速に影響力を失っていると古市雅子・北京大学准教授は言う。ではそもそもなぜ、中国国内で日本のサブカルチャーはこれまで人気を得ることができたのか。前編、後編にわたり、激変する中国人の日本観を伝える。(『中央公論』2021年6月号より)

日本アニメが衰退を始めた?

先日、北京大学で指導している学生が提出してきた卒業論文に、「日本のアニメは衰退を始めたが......」とあり、驚いた。そんなことはないと思う一方で、そう書かれても仕方ないと納得する部分もある。というのもここ数年、日本のサブカルチャーは、中国においてかつてのような影響力を持たなくなっているからだ。

それではなぜ、かつて中国では、日本のサブカルが人気だったのか。

文化大革命が終焉を告げ、中国が改革開放に向かう際に、経済発展のモデルとして選ばれたのが日本だった。当時の日本は市場経済でありながら経済計画を策定、実施していたこと、戦中戦後の対外封鎖経済体制から対外開放経済へ移行したこと、敗戦の混乱から短期間で先進国に追いついたアジアの国家であることがその理由であるという。

1978年、平和友好条約締結のために訪日したトウ小平(トウは登におおざと)は、自分の姿を通して日本の様子を中国全土に放送させた。そして、東海道新幹線に乗ったトウ小平が取材陣に、「とても速い。追いかけられて走っているようだ。今の我々にふさわしい」と言ったのは有名な話だ。車窓から伝わる速度、そしてこの名言と共に、新幹線は中国国民に強烈なインパクトを与え、高層ビルの名前や日本語学習雑誌の名前など、いたるところで「新幹線」という言葉が使われた。

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