バックオフィスこそが会社を変える

豊田健一(株式会社月刊総務代表取締役社長)
豊田健一氏
(『中央公論』2024年8月号より抜粋)

創刊61年の老舗月刊誌

――『月刊総務』は61年の歴史を誇る日本唯一の総務専門誌ですが、どんな雑誌なのでしょうか。


『月刊総務』は、総務が変われば会社が変わる、総務は会社を変える担い手になりうるとの信念のもと、総務担当者のモチベーションが上がる情報を提供する月刊誌として、1963年(昭和38年)に創刊されました。中心読者は、独立した総務部を持つ中堅以上の企業の皆様。一部の小規模企業では経営者の方が自ら読んでくださっています。

 私自身、総務の仕事に魅せられた一人です。株式会社リクルートで経理、営業を経験したあと総務部に配属され、複合機の管理、車両管理、防災、町内会などの近隣対応を担当しました。これが面白かった。その後、販売会社の管理部門に異動しましたが、総務の楽しさが忘れられず、大手鮮魚専門店「魚力(うおりき)」の運営会社の総務課長に転職しました。総務全般はもちろん、株式公開にかかわる業務までやらせてもらい、楽しかったですね。『月刊総務』の存在を知ったのは、このときです。当時、総務のコンサルティングに関心があったので、これは面白いと思い、総務としての実績を分厚いレポートにまとめて持ち込んだところ、入社することになりました。しばらくは社内報事業やシンクタンク業務に携わったあと、2012年から編集長に。社長就任に伴って退く3年前まで、ずっと務めていました。

 誌面作りにおいて、法令改正などの実務的内容はもちろん大事なのですが、個人的には「総務とは何か」を問うような、総務の本質を掘り起こす特集に醍醐味を感じていました。こういう特集は『月刊総務』にしかできない内容だと自負しています。

1  2  3  4