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政権交代より貯金優先?民主党に忍び寄る万年野党の道

永田町政態学

 民主党がスポットライトを浴びるのは、久しぶりと言っていいのではないか。

 先の衆院選で落選した海江田万里代表の後任を選ぶ党代表選が、十八日に投開票される。国会議員だけでなく、全国に約二三万人いる党員・サポーターも投票に参加する。投票用紙の発送などで時間がかかる方法だが、その方が国民の注目を集める期間が長くなる、という計算もありそうだ。候補者による公開討論会や全国遊説は、メディアへの露出を高める効果がある。

「国民に、これからの民主党をどうしていくのか各候補者がしっかり訴え、新しい代表のもとで党が前進することを期待する」

 枝野幸男幹事長は記者会見で、代表選が党再生につながることへの期待感を示している。

 民主党は二〇一二年衆院選で下野した後、新しい代表に海江田氏を選び、党の再生を託した。だが、海江田執行部による約二年間の党運営では、党勢の回復は十分に果たせなかった。むしろ、政権を奪うという気迫は薄れ、「万年野党」だった旧社会党と似た道を突き進んでいるように見える。

 衆院選での海江田氏の演説にその一端が表れている。

「次の次の選挙で必ず政権交代を果たすために、民主党が生まれ変わるきっかけを与えてもらいたい」

 なぜ、天下分け目の戦いとなるはずの衆院選が、「準決勝」扱いになったのか。

 党関係者が実情を明かす。

「選挙に使うカネを出し渋ったんですよ」

 先の衆院選で、民主党の候補者は衆院の過半数(二三八)を四〇人も下回る一九八人にとどまった。一九九八年の結党以来、初めて「仮に全員が当選しても、単独では政権交代できない」選挙だった。

 原因の一つに、候補者となる党の公認内定者がもともと少なかったことがある。内定者には、党が政治活動に必要な資金として一人当たり月五〇万円、年六〇〇万円を支給する。一〇〇人の内定者を抱えると、年六億円の資金が必要になる計算だ。執行部が、政権交代に不可欠な人材育成の資金を出し惜しんだ節がある。

 選挙の広報予算も、当初予定していた約八〇億円から、五〇億円程度に削られたという。そうして作られたテレビCMの一つは、登場する若い女性に「夢は正社員」と語らせる内容で、ネット上で「正社員が夢だなんて、女性をバカにしているのではないか」との異論も出た。

 選挙に使えるお金がなかったわけではない。むしろ潤沢だった。総務省が発表した二〇一三年の政治資金収支報告書では、民主党の「貯金」に当たる翌年への繰越金は、約一七四億円に上った。一三年に受け取った政党交付金約七七億円の二倍以上の額だ。

 党内には「『次の次』なんて言っている限り、ずっと政権は取れない」と危機感を口にする人もいた。

 しかし、「いつか政権交代のチャンスが巡ってくるまで、貯金を温存しておこう」という考えが優先されたようだ。執行部が、政権交代に挑むことより、野党のままでいることを容認したと言われても仕方がない。

 九八年の民主党の第一回党大会で採択された「私たちの基本理念」には、「政権交代可能な政治勢力の結集」を目指すことが明記されている。先の衆院選はその結党の精神を見失った選挙だったとも言える。

 衆院選後の全国世論調査では、自民党が圧勝した理由について、「ほかの政党よりましだと思われた」との回答が六割を超えた。

 政権交代への気概を示さず、安倍首相の経済政策「アベノミクス」への野党的な批判に終始した民主党。

 野党の批判を受けながら、アベノミクスの継続で経済を再生させるという強い意欲を訴え続けた自民党。

 両者を見比べた時、どちらが政党としてより期待できるか。多くの有権者が、そういう観点から投票先を判断したことを示唆する結果だった。

 民主党の新代表には、三年間の任期中に、一五年春の統一地方選、一六年夏の参院選という大きな選挙が待ち受ける。政権交代可能な政党に再生できるか、万年野党への道か。代表選が、その分岐点になる可能性もある。

 民主党は衆院選で、公示前の六二議席を七三議席へと増やした。一五年に受け取る政党交付金は約七八億円と、前年より十一億円増える見込みだ。(司)
(了)

〔『中央公論』2015年2月号より〕