新書大賞を受賞して「最高の一冊」になるということ
新書大賞が発表されると売り場が盛り上がる、という話は初めにした通りで、弱冠16歳の賞であっても定評をいただいています。これは自社レーベルの新書があるにもかかわらず他社の新書もノミネートさせ、逆に自社の新書を対象から外すということもしない、真の意味で分け隔てのない姿勢が、書店や読者にも伝わっているからだと考えられます。
「話題性も面白さも学術書としての評価も、全部揃っているのが受賞したら美しいよね」
――賞の創設当事者がこう言うように、誰がどう見てもこの年いちばんの新書はこれであるという妥当さ、そして納得感があってこその"新書大賞"なのだとわかりました。
過去のどの受賞作であっても、話題性、売れ行き、内容の充実さと評価の高さ、どれを取っても優れているものだといえます。それが読む本に迷った読者への道標に、または読者が書店に足を運ぶ理由になるならば、新書大賞にとってこんなに嬉しいことはありません。「最高の一冊」になるということは、まだ見ぬ読者に手に取られる未来が大きく拓かれるということでもあります。
だからこそ、たとえ競合企業である他出版社の新書が受賞したとしても、否、どの出版社の新書が受賞したとしても、「新書大賞を受賞する」ということそのものが、新書界、ひいては書店や出版界の中でもひときわ話題を呼び、人を呼び、「新書」というフィールドを大いに盛り上げているのです。
次回は3月31日配信予定です。
お楽しみに!!
中央公論編集部
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