【最終回】フェアと本売りの未来を探る! ~中公新書60周年・中公文庫50周年フェアから「俺」フェアまで~

あの本が売れてるワケ 若手営業社員が探ってみた 連載回最終回
中央公論新社の若手営業社員が自社のヒット本の売れてるワケを探りつつ、自社本を紹介していく本企画。最終回は、中公新書60周年フェア、中公文庫50周年フェアを題材に、フェアとは何なのか、そして本を売るという仕事の可能性について考えてみました。

値下げも割引もない書店に置いてフェアとは何か?

今回取り上げるのは書店で展開される「フェア」ですが、フェアとは一体何なのか。定義でいえば市や品評会、展覧会といった意味の英単語ですが、ためしにググってヒットしたコトバンク(紙の辞書を引けという声が聞こえてきそうですが)にはこんな例文が。

※吉里吉里人(1981)〈井上ひさし〉一二「いつか、どこかの出版社がわたしの作品フェアを計画するかもしれない」

なんと本のフェアが使われていました。

値下げも割引もできない書店がなにかお客さんを呼び込むための施策をしようと思ったら、「セール」でも「バーゲン」でもなく「フェア」、ということになると思いますが、一体どういう催しなのか。

たとえばデパ地下やコンビニでよくに見る「沖縄フェア」や「北海道フェア」。安く買えるわけではないですが、普段置いていないご当地の食べ物が並び、「今ここでしか買えないから」とついついたくさん買ってしまいます。

書店や出版社も同様に、普段店頭に置いていない本や、棚に差さっていて目立たない本を売るいい機会として「フェア」を開催するのかもしれません。

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