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やがて東京も収縮し、日本は破綻する

誰も知らない人口減少の本当の怖さ
藻谷浩介(日本総合研究所主席研究員)×増田寛也(東京大学大学院客員教授)

JR東日本とトヨタだけが知っている

藻谷 二〇〇四年だったと思いますが、ある経済学者が政府の審議会で「生産性の高い東京に若者を集中させないと、日本の経済成長はない」と発言するのを目の前で聞いて、こんなことを言う人間が政策に口を出しているのでは日本はおしまいだ、と衝撃を受けました。あれから一〇年経ったのに、いまだに増田さんのような方が人口問題に関してこういう提言をなさり、声を大にして警告を発しなければならない「進歩のなさ」に、まず愕然とします。

増田 今年三月に、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の「日本の地域別将来推計人口」が出ました。一読すれば、日本の人口減少が本格化し、加速度的に進行していくことが明白なのですが、多くの人はまだ「ああ、相変わらず少子高齢化が続くんだな」ぐらいの認識なんですね。地方政治に関わり、人口減少の怖さを体感している身としては、これは非常にまずいと感じました。社人研の報告に地方から大都市圏への人口移動を加味して、近未来の日本にどんなに恐ろしいことが起ころうとしているかを、わかりやすく提示しようというのが、レポートを作った動機です。

藻谷 少子化の進行のみならず、高齢者も減っていく。その結果、日本のまちが、地方の小さな自治体から順繰りに"消えて"いく。

増田 少なくとも政治のリーダーには、そうした事実を知ってもらわないといけないのですが、現実にはまともな分析もしていない。

藻谷 私は講演で、行政には「納税者が減るんですよ」と言い、企業には「顧客がいなくなりますよ」、政治家には「有権者が老人ばかりになっていいのですか」と話すんです。全てすでに起こり始めていることなのに、事態の深刻さがほとんどわかっていない。
 たとえば東京の生産年齢人口(十五〜六十四歳)は二〇〇〇年から減少しています。なのに、「もう一三年も前から、東京の現役世代は減っています」という話をすると、みんな仰天する。ただ、私が行った企業の中で、JR東日本とトヨタの方は「異変」に気づいていました。鉄道会社は定期券の売り上げで知る。トヨタは自前の販売網を持っていますから。

増田 逆に言えば、大半の企業はそうしたマーケティングさえやっていないということですね。社人研の予測がなぜ政策や企業活動に生かされないのか不思議です。自らの死活問題なのに。

藻谷 その意味でも、今このタイミングで増田さんがこのレポートを発表した意義は、とても大きいと感じます。

〔『中央公論』2013年12月号より〕