ネタの宝庫か、「カルロス・ゴーン・ジョーク」いろいろ
日産を危機から救った経営者としての名声と、その後の逮捕、脱走……。累計100万部突破の人気シリーズ「世界の日本人ジョーク集」で知られる早坂隆さんが、ジョークを通して彼のキャラクターを描きます。
※本稿は、早坂隆『世界の日本人ジョーク集 令和編』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
まずは、「ゴーン・ジョーク」から
【提案】
日産自動車の社員がカルロス・ゴーンに言った。
「私はいつも2人分の仕事をしています。給料を2倍に上げてください」
するとゴーンが答えた。
「君は誰の分の仕事をしているんだね? そいつをクビにしよう」
【葉巻】とある葉巻屋に日本人が入ってきて店主に聞いた。
「その葉巻はいくらですか?」
店主が答えた。
「1本で5ドル。2本買うなら、2本目は3ドルでいいよ」
「1本で十分です」
日本人は5ドルを支払って、店を出て行った。
そのやりとりを店内で見ていたカルロス・ゴーンが、すかさず店主に3ドルを出して言った。
「その2本目を買おう」
コスト・カッターとしての面目躍如
1999年6月、日産自動車の最高執行責任者(COO)に就任したカルロス・ゴーン。レバノン系ブラジル人で、「コスト・カッター」の異名を持つ彼は、「日産リバイバルプラン」を発表し、強烈なリストラ策を断行しました。5つの国内工場を閉鎖するなど、2万人にも及ぶリストラを実施した結果、同社は経営危機から脱しました。
日産再建の立役者で、敏腕・カリスマ経営者。ゴーンは長らく、そのようなイメージで語られてきました。あの事件までは......。
【節約】
カルロス・ゴーンの息子が息を切らしながら家に帰ってきた。
ゴーンが息子に聞いた。
「どうした? 何かあったのか?」
息子が答えた。
「今日はオフィスから市電の後を追って走って帰ってきたよ。これで1ドルの節約だ」
ゴーンが不満そうな顔をして言った。
「それならおまえは、どうしてタクシーの後を追って8ドル節約しなかったんだ!」
【壺】カルロス・ゴーンが贈呈用に高価な壺を購入した。店員が言った。
「値札は外しておきますね」
ゴーンが答えた。
「いや、外さなくていい。ついでにゼロを2つ書き足しておいてくれ」
世紀の大脱走を経て、今
2018年11月、金融商品取引法違反で逮捕。2019年1月には特別背任罪で追起訴されました。
ところが同年12月、東京都内の自宅から中東のレバノンへ密出国で逃亡。レバノンは彼の両親の出身地ですが、この逃亡劇は世界的にも大きなニュースとなりました。
逃亡には米軍の特殊部隊「グリーンベレー」の元隊員であるアメリカ人や、10名以上の「プロの運び屋」が手助けしたとのこと。帽子とマスクで顔を隠して自宅を出たゴーン被告は、「音響機器運搬用の黒い箱」の中に身を隠し、プライベートジェットを使って日本を出国。トルコで乗り換えて、レバノン入りしたと言われています。
こうしてレバノンでの生活を始めたゴーン被告。かつては同国で切手の肖像になるほどの存在でしたが、今では「腐敗のシンボル」として厳しい目を向けられています。
2020年8月には、レバノンのベイルート港で爆発事故があり、ゴーン被告の住んでいた豪邸も大きな被害を受けたと報じられました。フランス紙には「ゴーンがホームレスになった」との見出しが躍りましたが、実際には「窓ガラスが割れた程度だった」との報道もあります。
そんな彼の激動の生涯は、ハリウッドで映画化されるという噂も。主演は容姿の似ているローワン・アトキンソンではないかと囁かれています。
映画と言えば、名作「風と共に去りぬ」の原題は「Gone with the Wind」。
ゴーンも風と共に......。
【伝授】
カルロス・ゴーンのもとに、北朝鮮の国民から大量のメールが届いている。
その内容は以下のようなものだという。
「国から脱出するコツを教えてください」