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なぜうちの妻はいつもイライラしているのか

唐仁原裕樹
「主婦業9割削減」を決意し、3人の子育ての傍ら、ブログやメディアで削減のための施策を公開するワーキングマザーの唐仁原けいこさん。取り組んだ様子をまとめた書籍『主婦業9割削減宣言』も上梓しました。
今回は、著者の夫である裕樹さんに、「主婦業」がいかに妻の負担となっていたのか、削減を目指す前の妻の様子を振り返りながら、夫が心得るべきことは何なのかを聞きました。

妻はいつもイライラしていた

共働きである我が家の妻が「主婦業9割削減を目指します」とブログで宣言をしてから間もなく1年が経つ。それ以前の妻は、朝起きた瞬間からイライラしているように感じられた。そんな妻を見て私は「どうしてこんなにいつも不機嫌なんだろう。そのせいでこっちまで気分が悪いし嫌な気持ちになるんだよな。結婚してから性格がキツくなったしなんなんだろう。」と、常にイライラしている妻の性格が悪いとさえ考え、家族全体の問題とは捉えることができなかった。そのような状況から時が経ち、今現在は妻のイライラはほとんどなくなり、笑顔が増え、子供だけでなく私にも優しく接してくれるようになった。なぜ妻はその様に劇的に変わったのか。我が家の場合、大きな要因として二つ考えられる。

妻のイライラの理由を知る

私の妻が常にイライラしていた原因は、主にこの二つだった。

一つ目は『主婦業のタスクがあまりにも多すぎる』こと。

二つ目は『夫が家事育児に対して主体的ではない』こと。

一つ目の『主婦業タスクが多すぎる問題』。掃除、洗濯、食事の準備、お弁当作り、片付け、買い物、育児、習い事や学校行事の管理など、夫である私がぱっと思いつくだけでもこれだけあるが、これらはほんの一部。もっと細分化をすればトイレ掃除、お風呂掃除、もっともっと細分化すれば排水口掃除、カビ予防などなど限りなく出てくる。いわゆる『名もなき家事』だ。更にそれらは思いつきで行うのではなく段取りを考えた上で順次こなしているという。実際の業務だけではなく、晩ご飯の献立、子供の予防接種の予約など、妻の頭の中は常に忙しい状態なのだ。

小さい「そんなこと」の積み重ねでイライラ

『名もなき家事』は膨大にあるが、一例として『麦茶問題』を取り上げる。「主婦業9割削減宣言」をする以前の我が家の定番の飲み物は自宅で作る麦茶だった。一見、麦茶の何が問題なのかと思うかもしれないし、私も気付いていなかった。しかし、妻から聞いてみると確かにこれは問題だということがわかった。

私からすると、麦茶を作るなんて容器に水とパックを入れるだけだと思っていた。しかし、空き容器に付いた滑りを落とすこと、在庫がなくならない様にチェックをすることなどもある。5人家族なので一食あたり2リットルはないと足らなくなる。さらに、妻が食事の準備を終えて、一息つこうとしたら子供や私から「麦茶」と言われることにもストレスを感じていたという。幼児に「自分でやって」とお願いをしたら、重い麦茶をコップにうまく入れられず盛大にこぼし仕事が増える。さらに、私は在庫が少ないことがわかっているのに新たに作ることをしなかった。面倒だし、放っておけば妻がやるからと甘えていたのだ。「そんなことでイライラするなんて母親失格」という方もいるかもしれない。だが、「そんなこと」すら私はやっていなかったのだ。この様な小さいことの積み重ねで、主婦業は膨大に膨れ上がっている。そして、家族の問題なのに妻にほぼ全ての家事を押し付けていた私に大きな問題があった。

家族なのに、家事育児に主体的でない夫にイライラ

麦茶作りだけでなく、トイレットペーパーがなくなりそうなのに変えない。生活必需品がなくなりそうなのに買わないなど、私は確信犯だった。共働きなのに妻に甘えきったこの様な行為。卑怯であるし、妻がイライラしないわけがない。私は「主婦業9割削減宣言」がきっかけとなり、妻が考えている嫌なこと、やめたいことを知った。私たちは結婚から10年になる。それほどの長い間、共働きであるにもかかわらず「イライラの原因」を妻に押しつけていたのは私だったのだ。離婚の原因になってもおかしくないくらいの行為をし、ストレスを与えていたと今では反省しているし、改めて感謝の念を抱いた。

妻をイライラさせないことよりも大事なこと

妻が「主婦業9割削減宣言」をしてから私の意識も変わったことで、主婦業や家族内での役割について多くの人と話す機会が増えた。その中で私は「夫も家事育児を当たり前にやる社会」になったらいいなと考えるようになった。しかし、「うちのウッチョパス」や「ママがおばけになっちゃった」などで知られる絵本作家ののぶみ先生にこう教わったことで、更に意識が改まった。「お父さんもお母さんも、仕事や家事をやって当たり前なんてことはないんだよ。みんな頑張ってるんだから。」

『当たり前』の対義語は『有難う』だと聞いたことがある。以前の私は、主婦業を妻がやってくれて当たり前だという気持ちになっていた。しかし、家事育児だけでもいっぱいいっぱいになり、妻は夜中に一人で泣いていたということさえも気がつかなかった。家族として生きていく上で大事なことは、妻にイライラさせないことではなく思いやりだと思うようになった。結婚当初はもちろん思っていたけれど、忘れていた大切なこと。私の場合は妻の「主婦業9割削減宣言」をきっかけにそれを思い出した。

主婦業9割削減宣言

唐仁原けいこ

あなたが今当たり前に「やらなきゃいけない」と思い込んでいる主婦業は、本当に自分の手でやらなくてはいけないことなのでしょうか?
「自分がやらないと家庭が回らない」
「母だから仕方ない」
「妻だから仕方ない」
「3人も子供がいるから仕方ない」
本書は、本心ではやりたくないことがほとんどであっても、みんなが当たり前にやってるんだから私もやらなくちゃと勝手に思い込んでいたワーキングマザーの著者が、「主婦業9割削減を目指す」という壮大な目標を立てて臨んだクリエイティブな挑戦の記録です。

そこには“過去の常識"とか“当たり前"とか“世間体"を外してみた時にしか見えない新しい世界がありました。
もし、あなたが主婦業を「やりたい」と思ってやっているわけではなく、「仕方なく」やっているのだとしたら、この本を読むことで、人生に大きな変化を生むことができるかもしれません。

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唐仁原裕樹
『主婦業9割削減宣言』著者・唐仁原けいこの夫。
【唐仁原けいこ略歴】1980年大阪生まれ。3児の母であり、ワーキングマザー。
複数のキャリアを同時進行するパラレルワーカーとして、夫婦で運営する結婚相談所「ユカリ・ハート」、セミナー運営、パラレルキャリア相談など活動は多岐に渡る。2020年コロナ禍における全国一斉休校をきっかけに、育児、仕事、家事でキャパオーバーな自分を実感し「主婦業9割削減を目指します」と宣言して、ブログを開設したことで、メディア掲載多数。“やらなければならない"という思い込みからの解放で、アイデアと工夫を発信しており、子育て世代の女性から共感を得ている。