図書館は外国人住民のシェルターになれる...多国籍タウン・大久保と向き合って
- 2070年に国内の外国人が1割に
- 少数言語の本は1冊でもあることに意味がある
- 多言語とふれあう場をつくる
- シェルターとしての図書館
2070年に国内の外国人が1割に
――米田さんが館長を務める大久保図書館が立地する東京都新宿区の大久保は、多国籍タウンとして知られています。今号掲載の『地方自治体「持続可能性」分析レポート』のもとになった、昨年発表の国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2070年の日本の総人口に占める外国人比率は10・8%になるとされました。この数字を見てどうお感じになりますか。
本館には外国人住民の方が毎日当たり前のようにいらっしゃるので、その推計が表す未来のように、すでに国境のない時代になっていると身近に感じています。
実際、大久保図書館のある大久保・百人町地区と言われるエリアでは、外国人住民の割合がすでに3割を超えています。新型コロナウイルスの感染拡大前は4割を超えていましたが、一度減ったものの、また増えているようです。来館者の割合も体感としてそれとほぼ同じで、3割くらいは外国の方です。
もともと大久保は韓流ブームの発信地になるなど、コリアンタウンとして栄えていました。日韓関係の悪化や東日本大震災の影響などで韓国系のお店が減ったことがありますが、その跡地にベトナム料理のお店やハラル食材店ができたりするなど、他の国の人たちがやって来て、今では多国籍タウンになっています。そのダイナミズムがこの地域の魅力ですね。
新宿区全体では、実に130の国の方々が住んでいて、すでに外国人住民は1割を超えています。住民登録をしている方しかデータには含まれないので、実際にはそれ以上と言っていいでしょう。
新宿区が2015年と23年に、日本人と外国人の両方の住民を対象に実施した「多文化共生実態調査」があります。その中で、日本人住民に「近所に外国人が住むことについての考え」を尋ねているのですが、その2回の調査結果を比較すると、「好ましくない」という回答は減っています。その結果を見ても、外国人住民は少しずつ街に受け入れられているのかなと思います。