本質的な恥ずかしさを隠す?
――最近はパパ活やママ活といった言葉も聞かれるようになりました。ネガティブなイメージのあるものをマイルドに言い換えているようにも見えます。
石原 婚活にしろ妊活にしろ、気合を入れて「よし、やるぞ」という感じでやるものですよね。◯活はその本質的な恥ずかしさを隠しているところもあると思うんです。パパ活やママ活は露骨にそうですよね。何が活なのだろうと思うんですが。
辛酸 そうですね。かつては援助交際と言われていたものが、今はパパ活になっています。
石原 売春が援助交際と言い換えられている時点で相当隠蔽されているんですけど、それがさらにマイルドなパパ活になった。
辛酸 恵比寿あたりのカフェにいると、若い女性の「パパと一緒に旅行した」といった話が普通に聞こえてくるので驚きます。隠しているというより、カジュアル化しちゃっている部分がありますよね。
石原 性的な欲望が絡むフレーズはそうなりがちですね。不倫を婚外恋愛と言ったり、大昔は「よろめき」という言葉もありました。
――マイルドな言葉への言い換えという点では終活も同じでしょうか。
辛酸 終活って以前は何て言っていたんですかね。死に支度とかですか。
石原 それだとけっこう露骨ですよね。
辛酸 終活にすれば、ちょっとカジュアルなイメージが生まれるし、「そろそろ自分もやろうかな」という気分になる。エンディングノートを書いたりと、楽しく取り組めそうです。
石原 義務としてやらされているのではなく、主体的にやっている感じですよね。
辛酸 終活ならば、70代、80代の親御さんに「お父さん、そろそろ終活のことも考えたら」と言いやすいですよね。いきなり「お墓どうするの」と言うよりは。
石原 墓活という言葉もあります。あとは終活が広まりすぎて、お年寄りの間では「終」の字を使いたくないからと「憂愁」の字を当てた、愁活なんて呼び名もあるようです。
辛酸 それはちょっと寂しさが増しますね。
石原 とにかく本質を隠そう、遠回しな言い方をしようっていう、日本語にはそんな習性があるのかもしれません。あとは、「これはこういう意味です」といったこじつけもしがちです。