生真面目すぎる日本人
――最近は昼活、夕活、夜活といった言葉もあります。
石原 そんなに一日中活動しなくてもいいんじゃないかと思うんですけど。
辛酸 寝活(ねるかつ)もありますからね。寝ている間も美容や健康のために活用しなきゃいけない。
石原 睡眠を充実させるために「いい枕を使おう」とかそういうものですか。
――語義矛盾のようですが、呆活(ぼうかつ)という言葉もあります。
石原 一生懸命ボーッとしようということですか、なるほど。
辛酸 やっぱり日本人が真面目だっていうのは感じられますね。◯活は外国語への翻訳が難しいというのはよくわかります。
石原 何か◯活をしなきゃと、強迫観念に駆られている感じはします。
――昔からヨガや瞑想を行っている人はいましたが、呆活はそれよりも参入障壁が低いですよね。
辛酸 ヨガや瞑想だと、マインドフルネスみたいな本格的なものになってしまうので◯活とフィットしない。ヨガ活と言うのもちょっと変ですよね。
石原 ちゃんとしたことに活を付けると、台無しになっちゃう面はあるかもしれません。ちゃんとしていないものをよく見せようという時に、◯活はちょうどいい言葉なのかもしれない。
辛酸 たくさんの意味を付けたい時に使えますよね。
――最近は推し活という言葉も聞かれます。アイドルやミュージシャンばかりでなく、一般人、マンガやアニメのキャラクターも推しの対象になり、広い意味で使われています。
石原 推し活っていい言葉だと思うんです。ちょっと自分を客観的に見ているようなところがある。「こんなものに一生懸命になって」と思いつつ、一方でそういう自分をかわいいと感じている、みたいな。
辛酸 推し活が流行ってから、どこか「推しがいないといけない」みたいな空気にもなりつつあります。圧があるというか。「推しがいてこそ人生が充実する」くらいの感じになっている。推し活って以前は何て言われていたのでしょう。
――応援や追っかけでしょうか。
辛酸 友達に誰それの追っかけをしているというのはなかなか言いづらいですけど、「今月は推し活が忙しい」だったら抵抗なく言えそうです。そういうポジティブな推し活もありますが、ホストにハマるような例もある。高額なお金が発生してしまう推し活は考えものですね。
石原 下手したら宗教にハマってしまうのも推し活かもしれませんね。そこまでいくと怪しいものになってしまいますが。