IT革命を夢見た国家事業「インパク」とは何だったのか

岡田正樹(埼玉学園大学特任講師)
 2001年に日本政府主導で実施されたオンライン・イベント「インターネット博覧会(インパク)」。政府の力の入れようとは裏腹に、およそ成功とは言いがたい結果となったイベントだが、その内実はいかなるものだったのか。デジタル化、オンライン化が叫ばれる今、読み解く。
(『中央公論』2021年6月号より一部抜粋)

デジタル化の進む現在

 新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の影響により、デジタル化への注目度がさらに高まっている。リモートワークが進められるなか、これまでは様々な会場で行われていたイベントも、リモート開催に移行するケースが増えている。

 政府も、このコロナおよび「オリンピック・パラリンピックのような節目となるイベントの開催を契機として一挙に」情報技術の普及が進展すると捉えており、デジタル化への取り組みを本格的に進めようとしている(総務省『令和2年版情報通信白書』)。九月にはデジタル庁の設置も予定されているのは周知の通りだ。

 デジタル化、オンライン化をめぐる動きを見ていると、背景や事情は異なるとはいえ、二〇年前のとあるオンライン・イベントをどうしても思い浮かべてしまう。それは先日、女性差別発言で東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長を辞任した森喜朗が「顔」となって行われた、インターネット博覧会(通称「インパク」)である。

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