ベストセラー『独学大全』著者が明かす誰でも独学を続けられる「コツ」 読書猿
どんどん挫折してどんどん立ち直ればいい
読書猿(ブロガー)
人はなぜ学ぶ?
─独学を始めたきっかけは。
小学四年生でコンピュータに出会い、周りにプログラミングを教えてくれる人が誰もいなかったので独学を始めました。
『独学大全』では、序文の冒頭に「機会も条件も与えられないうちに、自ら学びの中に飛び込む人」と独学者を定義しました。何かを知りたい、あるいはもっと学びたいと思った時、学校に通えたり誰かに教えてもらえたりといった、学習の機会や条件が揃うのを待っていられない、あるいは様々な制約から機会や条件が整う見込みが立たないからこそ、人は独学者になってしまうのだと思います。
─自身の学びの目的、目指す到達点はどんなことですか。
「人はなぜ学ぶのか」という問いに、私は「自由になるため」だと答えています。
私たちは、人間の社会で生きている以上、取り立てて学ぼうとしなくても、何一つ知らないわけではない。生きていく間に不可欠な知識や技術を自ずから身につけることになる。ではなぜ、自覚的に学ぶことが必要になるのかといえば、生きる中で自然に身につくものだけでは足りなくなるから、あるいはそうした自然に身についたものを検討し直し、再学習する必要に駆られるからです。
独学者は自ら学ぼうとする者ですが、その学習は学び直しの形をとります。知らず知らず教え込まれて身につけてしまった知識や技術が本当に正しいのか、今自分がなんだかよくわからないままに苦しいのは、これまで身につけた知識やものの見方のせいではないか。自らの知識を疑い、その呪縛から逃れるために、人は自覚的に学ぶ必要があるのだと思います。