架神恭介+辰巳一世+脇雄太郎 クリエイターのための「帝国」チェックシート

写真提供:photo AC

「なぜ帝国はフィクションで悪の組織として描かれやすいのか」(『中央公論』7月号掲載)を読んでくださったクリエイターの皆さんのために、便利なチェックシートをご用意いたしました。

 本誌で説明した通り、フィクションにおいて「帝国」は便利なサンドバッグとして活用できます。敵側を「帝国」と呼称すれば、それだけで受け手側のヘイト(憎しみ)を獲得することができ、敵を気持ちよくボコボコにできるのです。「帝国」は邪悪で強大なので、どれだけ殴っても心が痛みません。敵を「帝国」呼ばわりすることも簡単です。

 以下のポイントさえ押さえておけば、本来の帝国の定義など無視して、相手を「帝国」と断じることができます。帝国を悪の組織と決めつけて、快適な創作ライフを送りましょう!

■チェックリスト

●膨張主義(軍事・ビジネス・政治・文化)
□武力による侵攻
□破壊と殺戮を行う
□皆殺しを企む
□自国の都合を優先
□大規模で組織立った犯罪を行う
□侵略先の人種を軽視 (奴隷制度の採用)
□自国文化を強制する
□天下泰平(安定した強固な政体による広範囲の平和)を目指している

●非倫理的・非人間的イメージ
□高度な科学技術力(自然破壊に繋がればなお良し)
□官僚制度を確立
□トップによる組織の私物化
□徹底した実力主義
□組織の末端まで管理されている
□末端の管理が行き届かず暴走する
□各人の個性よりも法と秩序と平等を優先する
□兵士がみんな同じマスクをかぶっている

●覇権を確立している
□トップが有能か超人である
□トップが無能か傀儡である
□巨大組織
□無尽蔵のカネと人材
□システムとネットワークが確立し、固定化している
□独裁体制である(トップダウン組織が成立している)

●象徴として機能するような特徴がある
□組織構成員の見た目が恐ろしい
□軍服を着ている
□紋章を掲げている
□エリート部隊がいる

●なんとなく気に食わない
□強い
□偉そう
□イラつくイデオロギーを持つ
□トップや大臣が太っている
□トップや大臣が高そうな服を着ている
□指導者がちょび髭

中央公論 2022年7月号
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