山崎怜奈 歴史と現在は地続き――時事の見取り図を手にするために
山崎怜奈(タレント)
教科書にしてほしい一冊
その流れで読んだのが、宇野重規さんの『民主主義とは何か』(講談社現代新書)です。
民主主義と呼ばれている仕組みは、誕生してから2500年くらい経っています。その間ずっと批判されてきたし、間違った時もあれば修正もされてきた。そうした過程を踏まえ、民主主義の持っている役割を批判するだけでなく、民主主義のほうが効果があることをきちんと、わかりやすく示しているので納得感があります。また、民主主義を叩く人がどこに不満を抱いているのかもわかりました。
民主主義はいろいろな間違いも起こすが、そもそも社会はしょっちゅうエラーを起こす。だからこそ、民主主義は修正しアップデートすることを前提にした仕組みにしているとか、なるべく多くの人に当事者意識を持たせる、参加と責任の仕組みであると書かれています。「民主主義とは何なのか」と揺らいでいる大人たちの不安も回収してくれる本だと思います。
宇野さんは学術会議会員への任命を拒否された一人ですが、その後も特に態度を変えずこの本を書いた。その信念も感じました。
民主主義というと少し硬めな印象はありますが、ウクライナ戦争と同様、私たちの生活と結びついていることですから、現状把握のためにも読んでおきたい本です。いっそのこと、これはもう教科書にしても良いと思います。