【新書大賞2024特別企画】読書芸人ラランド・ニシダが選ぶおすすめ新書ベスト3
- 初めて読んだ新書のこと
- 新書はエンタメだ!
- ニシダ的「ベスト3」
初めて読んだ新書のこと
――ニシダさんはお笑いコンビ・ラランドのツッコミ担当として活躍されながら、年間100冊の本を読む読書芸人としても知られ、昨年には小説家デビューも果たしました。新書大賞のことはご存じでしたか。
もちろん知っていましたよ! 本屋に行くとコーナーがつくられているし、発表のときにTwitter(現X)で盛り上がったりもしていたので、学生の頃から自然とお世話になっていました。
前回の新書大賞で2位だった稲田豊史さんの『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)は昨年読みましたが、かなり好きな一冊で、YouTubeの個人チャンネルでも紹介しました。2018年の大賞の前野ウルド浩太郎さんの『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)もすごく面白かったなあ。矢野久美子さんの『ハンナ・アーレント』(中公新書、2015年の3位)や、中野剛志さんの『TPP亡国論』(集英社新書、2012年の3位)も読みましたね。トップ10に入っている他のタイトルは、読んでいなくても知っているものが多いです。
――純文学好きを公言されていますが、新書もかなり読んでいるのですね。初めて読んだ新書のことは覚えていますか。
たしか家の本棚にあったものでした。父親が好きで、本棚には小説より新書のほうが多かったんです。科学やビジネス、歴史の新書がたくさん並んでいました。その影響で、僕も中高生の頃から少しずつ新書を読むようになって。最初に読んだのは、新撰組か何かについての歴史ものだった気がします。
やっぱり本への入り口として、親の本棚は大きいですよね。棚にある本の種類にも影響されるし、本棚があるかどうかで、読書習慣の有無も変わってくると思います。
――昨年発売の新書で読んだものはありますか。
『高学歴難民』(阿部恭子、講談社現代新書)を読みましたね。帯に書かれた「学歴があれば『勝ち組』なのか?」というシビアなキャッチコピーが印象的で。この本にはロースクールまで行ったのにヒモになった人や、海外留学から帰国後に日本に馴染めない人などが出てきて、一生懸命勉強したのに「労働」という意味では社会にフィットできない人がこんなにいるのかと驚きました。僕も大学中退で芸人をやっていますが、親は相当ハラハラしているんだろうな、と身につまされる思いも......。すごくリアルでした。