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北朝鮮、中国、ロシアにあざ笑われる日本

日米同盟を踏みにじった民主党の大罪
石破茂(自民党・政務調査会長)

揺らぐ日米同盟 

さきほど、尖閣事件は中国の仕掛けではないかと述べた。十一月初めにはロシアのメドベージェフ大統領が、国後島を訪問した。ソ連時代を含め、ロシアの首脳が北方領土に足を踏み入れたのは、初めてのことである。

 実は、胡錦濤とメドベージェフは、今年に入って五回会っている。あの尖閣事件のさ中にも会談し、「歴史認識を共有する」という声明を出した。国政を担う人間だったら、「これは大変なことだ」という認識を持たない方がおかしい。メドベージェフの北方領土訪問を「国内問題」に矮小化し、「自分たちは正しい」と言い張る内閣の危機感の欠如、見苦しさはどうだろう。

 周辺超大国のこうした動きは、偶然のものだとは思えない。北朝鮮の行動も含めて、一連の事態の根幹には、日米同盟の揺らぎがあるというのが、私の考えだ。

 普天間問題で、日米同盟には明らかにヒビが入ってしまった。にもかかわらず、民主党政権は当初、「中国に対しては毅然たる態度で接する」と宣言した。ロシアに対しても、「北方四島を不法占拠している」などと、言わなくてもいいことを言った。こちら側の同盟が揺らいでいる時に、ロシアや中国にけんかを売って、どうしようというのだろうか。例えば中国に対して毅然とモノを言おうと思ったら、少なくともロシアを敵に回してはならない。

 私が防衛庁長官を拝命した時、小泉総理の靖国参拝の影響で日中関係はギクシャクし、前任者の中谷さんは訪中を拒否されたほどだった。そんな中、大臣になって初めて訪問したのは米国で、時のラムズフェルド国防長官とは、ずいぶん意気投合した。次はどこに行こうか考えた末、ロシアにした。そこで、今副首相をやっているセルゲイ・イワノフ国防大臣とも意気投合し、数ヵ月後に今度は彼が訪日してくれた。そうした状況は、当然、中国の目にも入る。彼らにしてみれば、気味が悪くて仕方なくなるのだろう。次に私は、防衛庁長官としては初めてインドに行った。ここに至って中国は突如、私に訪中を要請してきた。

 外交とは信頼関係であり、それをベースにした駆け引きである。今は、オバマとの信頼関係はなく、メドベージェフともしかり。それで中国に物申すというのは、どだい無理な相談である。

辺野古は「暫定」

 ところで、今年の中国の軍事パレードを見て、私はショックを受けた。胡錦濤が背広ではなく軍服を着て、参列する姿を目にしたからだ。「中国内部で軍が力をつけたのだな」と実感できる映像であった。

 軍部が力を持てば、当然のことながらシビリアンコントロールは利きにくくなる。特に、「海への進出」を志向する中で、陸軍に比べると抑制的な姿勢を保つはずの海軍が、権勢拡大という軍の論理を大っぴらに主張し出すとしたら、これは恐ろしいことだ。日米同盟を強化し、常日頃からその抑止力を認識させることの重要性は、日増しに高まっていると感じる。

 では、どこから手を付けるべきか?米国との関係は、成果を示すことで修復を図るしかあるまい。沖縄知事選において、再選された仲井真氏も県外移設を訴えざるを得なかったのは全て民主党政権の責任だが、普天間基地の危険性除去を最優先させるとの原点を忘れてはならない。

 アメリカ海兵隊が沖縄にヘリ部隊を置くのには、れっきとした理由がある。カバーするのが朝鮮半島だけならば、日本海側のどこかでもいいかもしれない。しかし、台湾を視野に入れ、ヘリが戦闘機部隊と連携した作戦を展開するためには、沖縄本島がギリギリの距離。国外はもとより県外でも、抑止力として機能しない。だから、現状で米軍が沖縄から出ることはありえない。普天間基地の危険性を考えるならば、やはり辺野古移転という結論になる。

 ただそれは、「辺野古への固定化」を意味するものではない。いずれ「MV│22オスプレイ」という輸送ヘリが配備されるようになれば、スピードも航続距離も上がり、「県外移設」の可能性が出てくる。「辺野古はそれまでの暫定」という方針を明確にし、あらためて理解を得る努力をすべきだというのが、私の個人的な考えである。

 そうした作業を通じ、信頼関係の回復に努めながら、揺らいだ日米同盟のたて直しに本気で取り組む時だ。それは、単に「かつての姿を取り戻す」といったレベルのものにとどまらず、今の世界情勢を踏まえた「再構築」でなければならない。

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