アメリカ文化としての「スポーツ賭博」

前嶋和弘(上智大学教授)
写真提供:photo AC
(『中央公論』2024年7月号より抜粋)

 米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手の通訳を務めていた水原一平氏が3月に解雇され、銀行詐欺罪などで訴追された。今後数ヵ月のうちに連邦地方裁判所で判決が言い渡される見込みである。

 水原氏がのめり込んだことで注目が集まっているオンラインのスポーツ賭博(ベッティング)について、日本では「違法性」が強調されている。だが、アメリカで広く利用されている小口のスポーツベッティングは事情が大きく異なる。

 アメリカではもともと、スポーツベッティングを受け入れるような土壌があり、罪悪感が希薄であるほか、規制緩和が進んで大多数の州で合法という位置づけだ。スポーツベッティングが「一大成長産業」になりつつあるなか、むしろ問題なのは、水原氏がまさにそうであるように、スポーツベッティングが普及することで増えていく依存症のほうだろう。

 アメリカのスポーツベッティングについての社会的・政治的な背景を考えてみたい。

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