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これは民主主義の危機である いますぐ特捜を解体せよ

鈴木宗男(新党大地代表)

 「私を取り調べた検事から『業者が政治家にお金を渡すのは「お礼」か「お願い」しかない』とこまごまと説明され、『どちらなのだ』と言われて、この件は『お礼』という趣旨では通らないと思い、『お願い』としてしまったのです。やまりん関係者一同の気持ちは、官房副長官就任のお祝いであり、だからこそ、官房副長官室で堂々と祝儀袋を机の上に並べたのであり、賄賂だと思っていたとすれば人の出入りのあった官房副長官室でそのようなことをすることにはならないと思います」。
 「私どもが鈴木代議士にお願いしたのは、翌日林野庁を訪問するに当たって、鈴木代議士からも林野庁によろしく言ってもらうことでした。しかし、それでは刑事事件にならないことから、鈴木代議士に「全量回復」の働きかけを林野庁にしてもらうようお願いしたことになったのです。私がこのことをよく覚えているのは、平成15年に裁判所で証言する前に、証人尋問の4日前から毎日東京地検に出向いて尋問のリハーサルを行いましたが、その際、検事から不正な行為の働きかけをお願いした旨の答えが予め書きこまれた尋問事項書を渡され、答えに間違いはないか何度も念を押されたからです。」
検察の強引な取り調べを証言したのはこの社長だけではない。北海道開発局の発注工事に絡み、建設会社「島田建設」から賄賂を受け取ったとされ、受託収賄罪が確定した島田事件でも、賄賂を贈ったとされた島田建設社長の妻が夫に代わって陳述書を作成してくれた。なぜ奥さんが書いているかというと、公判が始まる前に社長は急性の脳梗塞になり倒れてしまい、しゃべることも体を動かすことも困難になってしまったからだ。
以下、二〇〇七年八月に作成され、私の弁護士が高裁に提出した陳述書から引用する。島田社長は参考人、証人として検察に呼ばれ、検察官の言うとおりに調書を作られたことが分かる。
 「夫は思い詰めた様子で、いくら検察官に事実を説明しても受け入れてくれない、どうしたらいいんだろう、刑事事件に明るい弁護士を頼んでもらえないだろうか、と言っていました。夫の話では、検察官はあらかじめ文章を作っていて、その表現内容が夫の認識と違うと言っても受付てくれず、どのように対応したらよいか困っているということでした。」
「結局、夫は、納得のいく形での調書を作ってもらえず、そのあげく、鈴木宗男代議士は逮捕され」ました。
 「夫は、刑事裁判になったら法廷ではちゃんと真実を述べるつもりだったようですが、鈴木さんの事件の法廷に立つ前に、急性の脳梗塞になり倒れてしまいました」
 この陳述書も事件に関わった当人ではないために高裁は採用しなかったが、いずれにしても、これが検察が密室で行う取り調べの実態だ。だから、冤罪がなくならないのだ。これは特捜の?体質?だ。強硬な取調べをする検事は前田被告だけに限らない。検事に共通する人間性だ。
前田被告は様々な事件で証言を引き出したことから高く評価され、「割り屋」と呼ばれていたという。今回の事件は、前田被告を評価してきた検察組織全体に責任がある。厳しく断罪されるべきだ。
 証拠改竄事件で、同じく最高検に逮捕された大阪地検の前特捜部長・大坪弘道氏と、前副部長・佐賀元明氏が、共に徹底抗戦の構えを見せているのも興味深い。
佐賀氏は、検察内では否定されてる「取り調べの全面可視化」を要求しているという。いかに酷い捜査を自分自身がしてきたかという証左である。前田被告についても、自分は検察のシナリオに沿って逮捕されたと主張しているという。まるでマンガのようだ。

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