これは民主主義の危機である いますぐ特捜を解体せよ

鈴木宗男(新党大地代表)

FD改竄事件は特捜の体質が生んだ

 収監が決まった瞬間、「ついに来るべきものがきたな」と感じた。日本では検察が起訴した場合、極めて稀なケースを除いてほぼ間違いなく有罪となるからだ。ただ、あまりに早過ぎると思い、驚いた。
 たとえばKSD事件で逮捕された村上正邦氏が上告してから最高裁が判決を下すまでには二年半近くかかっている。ところが、私の場合、あっせん収賄など四つの事件を抱えているのにもかかわらず、たった一年半余で決定が出ているのだ。これは驚くほどのスピードだ。
話を検察に移そう。厚生労働省の村木局長が無罪とされた郵便不正事件に絡み、大阪地検特捜部の前田恒彦主任検事が、押収資料を改竄したとして、最高検に証拠隠滅容疑で逮捕された。押収したフロッピーディスクのデータを、特捜部の描いた事件のシナリオに合うよう書き換えた疑いがあるという。
 証拠を改竄するという恐ろしさは日本中を震撼させたが、証拠改竄まではしなくとも、自分たちが作った事件のシナリオ、ストーリーに無理やりあてはめようとする習性が検察全体にある。これは大阪地検特捜部に限った話ではなく、検察すべてに共通する体質と確信している。
 私の事件でも賄賂を渡したとされる製材会社「やまりん」幹部などが、検事に脅されて調書を取られている。以下は二〇〇二年六月、私の逮捕許諾が審査された衆院議院運営委員会に、やまりん社長が提出した陳述書に書かれた内容だ。
やまりん社長は、検察の取り調べの様子について、「検事は、まず『贈側は時効だから協力してくれ。数多くの事件の中の一つにすぎない。鈴木側の政治資金収支報告書に基づいて全国一斉に調べているんだ』などと私を安心させるような言い方をし、さらに、『狙いは、鈴木一人だ』などと言いました」「一方でこのように言いつつ、検事は、さらに『我々特捜の前に障害になるものは排除する。我々の行く道に邪魔になる足は蹴飛ばす』などと言いました。」
その後、取り調べが思うように進まなかったのだろう。
 「『今までは、特捜側の協力者だと考えていたが、違うようだ。前から言っているように、我々特捜に協力するか、鈴木に協力するか、二つに一つだ。協力するとしないとではずいぶん違う。いずれにせよ強制捜査は避けられないが、マスコミに対する我々特捜側の対応の仕方も違う。我々のマスコミへの言い方次第によっては、社長を極悪人に仕立て上げることもできる。協力さえすれば、この件だけで終了する。協力しなければ、それだけでは終わらない。人間誰でもたたけばほこりが出る。社長もほこりが出る。(中略)社長の母親、兄貴、全部だ。4年前の盗伐の件でやることも可能だ』などとドスの効いた低い声で言って、私を脅し始めました」とあるのだ。
 残念ながら東京地裁で行われた第七回公判で、この社長は「昨年六月の国会に提出された私の陳述書の内容はウソだった」として陳述書の内容を撤回してしまった。検察側がやまりんに圧力をかけたからだ。検察は、捜査妨害だ。弁護士事務所を家宅捜索すると言い、私の弁護士までがやまりん関係者と接触できなくなったのだ。
地裁では陳述書を撤回した社長だが、高裁では改めて検察の強引な取り調べについて証言してくれている。以下は二〇〇七年九月に高裁に提出した社長の陳述書である。

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