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西村康稔 再エネ、火力発電、原発再稼働・・・・・・あらゆる選択肢を排除しない

西村康稔(経済産業大臣)
西村康稔氏
 ウクライナ戦争が、1970年代以来のエネルギー危機を引き起こしている。戦争、エネルギー、気候変動と同時に進行する危機を前に、日本はどのように対処していくのか。西村康稔・経済産業大臣に話を聞いた。
(『中央公論』2022年11月号より抜粋)

エネルギー危機と脱炭素 二つの難題にどう対処するか

――今年8月の内閣改造で、エネルギー政策を所管する経済産業大臣に就任されました。西村大臣にとっては古巣でもありますね。


 私は1985年に通商産業省(現経済産業省)に入省し、約15年間在籍していました。同省では資源エネルギー庁の石油部計画課を振り出しに、キャリアの半分くらいはエネルギーや環境関連の政策に関わっていました。その時の経験、思い入れもあります。

 国会議員になってからも自民党の総合エネルギー戦略調査会の役員や経済再生担当大臣を務めましたので、エネルギー資源の乏しい日本ではエネルギーの安定供給が国民生活、産業、経済にとって何よりも重要なことだと常々考えています。初心に戻って頑張りたいと思います。


――ロシアのウクライナ侵略で世界のエネルギー秩序が大きく揺らいでいます。この状況をどう受けとめていますか。


 日本だけでなく、世界がエネルギー危機という極めて難しい問題に直面していると思います。まずはエネルギーの安定供給を確立する必要があり、「脱原発」を掲げていたドイツでさえ、今年中に停止予定だった原子力発電所を一部稼働延長する方針に変更しました。他方で、現在は安定供給に力点が置かれているものの、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量の実質ゼロ)も目指さなくてはいけません。

 岸田政権にとってもエネルギーの安定供給とカーボンニュートラル、この二つの両立を実現することが最重要課題の一つだと考えています。


――エネルギー危機と脱炭素の二正面作戦を強いられているわけですね。政府としてどのように対処していくのでしょうか。


 あらゆる選択肢を排除しない姿勢で臨むつもりです。再生可能エネルギーの最大限の導入や休止中の火力発電所の再稼働に加え、原発の再稼働も進めていきます。

 先般、岸田首相からも今冬までに稼働する原発を増やすように指示を受けました。これまでに原子力規制委員会の審査に合格して再稼働できた原発は6原発10基ありますが、中には点検や工事で停止しているものもあり、10基すべてを稼働した状態にするのは難しいです。それでも、同時に9基の稼働を確保する方針です。そして来夏以降、追加で7基の再稼働を目指します。

 エネルギーの安定供給とカーボンニュートラルの両方を達成するうえでも、原発は重要な役割を果たすと考えています。


――原発再稼働にはまだまだ不安の声もあります。実現するうえで最大の課題は。


 まずは安全性の確保です。日本の原子力規制委員会の安全基準は世界で最も厳しいと言われています。再稼働のためにはその基準に適合しなければならず、それには電力会社の努力が必要です。規制委員会からの要請に各社が真摯に応え、緊張感を持って取り組むようしっかりと要望していきます。

 IDカードの不正使用など不祥事が相次いだ新潟県の柏崎刈羽原発も、政府が再稼働を目指す原発の一つです。大臣就任後すぐに福島第一原発を視察した際、事業者である東京電力の会長と社長にお会いしました。その時に、私から直接、「とにかく緊張感を持って取り組んでほしい」と強くお伝えしました。

 もう一つの課題が、原発立地地域の皆さまのご理解を得ることです。そのためには、地元の皆さまへの丁寧な説明が欠かせません。避難経路の確保など様々な不安や懸念があると思いますので、国が前面に立って、地元の理解を得ていきます。

 そして何より忘れてはならないのは、福島第一原発の廃炉を着実に進めていくことです。処理水の海洋放出についても、地元の皆さま、日本全国の漁業者の皆さまにご理解をいただけるよう丁寧に説明して進めていきます。処理水による影響を乗り越え、持続的な漁業を実現するための対策として、基金創設の方向性も示していますし、引き続き丁寧に取り組んでいきたいと思います。

(続きは『中央公論』2022年11月号で)

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西村康稔(経済産業大臣)
〔にしむらやすとし〕
1962年兵庫県生まれ。灘高校、東京大学法学部卒業。通商産業省入省後、米国メリーランド大学公共政策大学院へ留学。2003年衆議院議員選挙で初当選。外務大臣政務官、内閣府副大臣、内閣官房副長官、経済再生担当大臣、TPP担当大臣、全世代型社会保障改革担当大臣、新型コロナウイルス感染症対策担当大臣などを歴任。22年8月より現職。
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