資本主義の暴走と環境破壊を止めろ <新書大賞2021>大賞『人新世の「資本論」』レビュー
資本主義の暴走と環境破壊を止めろ
今回は経済思想史の若き俊英が著した『人新世の「資本論」』が大賞に輝いた。
▼気候変動に対する解決法は脱成長コミュニズムしかないことを、豊富なデータをもとに明快な論理で説いた本。気候変動に脱成長経済で対処することまでは、多くの人が言ってきた。しかし、資本主義の枠内では脱成長は決して果たせないため、ある種のコミュニズムが必要だと踏み込んで言い切った人は少ない。「コミュニズム」という語を選択し、これにこだわった勇気は称賛に値する。
(社会学者・大澤真幸)
▼明確な問題意識と具体的な将来社会像の提示によって引っ張っていく筆力がすごい。
(京都大学名誉教授・竹内洋)
▼若いマルクス経済学者からの提言は、何よりも行間から情熱が伝染してきて元気が出る。
(国際ジャーナリスト・堤未果)
▼この一年、コロナ禍を通じて、グローバル化の是非や人間と自然の関係を考え直すことになった。資本主義に限界が来ているという予感は、多くの人が共有している。その予感にこの一冊が答えてくれる。
(朝日新聞・瀧澤文那)
▼世界を覆う格差、貧困、環境問題を解決するには、この方向性しかないのではと思わされました。
(光文社新書・三宅貴久)
▼私たちは、経済システムの暴走と環境破壊に漠然とした危機感(と罪悪感)を感じながら生活している。旧来の政策や経済理論を破壊するようなインパクトをもつ本書に惹かれるのはそのせいかもしれない。
(丸善日本橋店・伊藤健)
〔『中央公論』2021年3月号より〕
「新書大賞2021」上位20冊までのランキングと、有識者59名の講評など詳細は、2021年2月10日発売の『中央公論』3月号に掲載されています。
特設ページでも上位20位までのランキングを掲載しています。
「新書大賞」特設ページ https://chuokoron.jp/shinsho_award/