「死」は進化が作った仕組み <新書大賞2022>2位『生物はなぜ死ぬのか』レビュー

新書大賞2022
皆さんから寄せられた投票の中から、いくつかを抜粋してご紹介します。

「死」は進化が作った仕組み

生物学者である著者が壮大な謎の解明を試みた佳作。

 

▼なぜ生まれてきて、なぜ死ななくてはならないのか。偶然と必然。生物学的な視点から見える、人類への提言
(丸善お茶の水店・金澤秋士)

 

▼当たり前に感じることを問いとして立て、生物の魅力を語っていく様子にひかれた。冒頭の天文学者に関する話から一気に引き込まれた
(ちくまプリマー新書・橋本陽介)

死は次世代が居場所や食料を獲得するために不可欠であり、進化が作った仕組みだと著者は語る。

▼ヒトが死ぬのは「老化」ゆえなのだが、なぜ細胞が老化するかからはじまり、死ぬのは「多様性のため」と言い切ってしまう。そして、多様性を考えれば、家の外の人と関われという教育論になり、死なないAIの話は人類の未来論にまでなってしまう
(教文館・伊藤豊)

 

▼過度に思弁的にも専門的にもならず、生物学から平易に答えるスタンスに好感。根源的な設問に応えて現代人を啓蒙する良書。編集センスもナイス
(新潮新書・阿部正孝)

 

▼原初の生物は、原理上、死ななかった。生物の歴史の中で、「死」はいつ、なぜ誕生したのか。そして「死」が持つ意味とは何か? 誰もが忌み嫌う終着点「死」について、生物学の視点から迫る一冊。少しだ
け、「死」を肯定的にとらえられるようになるはずです
(BOOKSなかだ上市パル店・中田祥平)

 

▼一見なにげないタイトルに込められた、問題意識の深さを思わされます
(朝日新書・宇都宮健太朗)

 

〔『中央公論』2022年3月号より〕

 

「新書大賞2022」上位20冊までのランキングと、有識者49名の講評など詳細は、2022年2月10日発売の『中央公論』3月号に掲載されています。

特設ページでも上位20位までのランキングを掲載しています。
「新書大賞」特設ページ https://chuokoron.jp/shinsho_award/

 

生物はなぜ死ぬのか(講談社現代新書)

小林武彦

出版社:講談社
発売日:2020/04/14

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中央公論 2022年3月号
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