高野之夫豊島区長「長瀬智也さんがドラマで『危ない』と言った池袋西口も、もうあの頃の西口じゃない」
豊島区は消滅可能性都市をどう脱却したか(後編)
高野之夫(豊島区長)
行政の最大の課題は「町並み整備と人口増」
◆それら都市刷新の先駆けが15年、東池袋にできた新区庁舎「としまエコミューゼタウン」ですね。
地上49階建ての超高層タワーは、地下鉄東池袋駅とも地下で直結しています。
1階と3階から九階が区庁舎、その上は分譲のタワーマンション。区庁舎とタワマンという組み合わせは、全国、いや世界的にも珍しいと思いますが、そのような形にすることで、区庁舎の新築費用をまかなったのです。
億ションをもじって「区役ション」と揶揄もされましたが、フタを開ければ上階のマンションは即日完売。今では全国の自治体から、「その手があったか」と、視察が絶えません。
新区庁舎「としまエコミューゼタウン」。(写真提供:写真AC)
◆同じタイミングで、新区庁舎の隣接エリアに整備した「南池袋公園」が、池袋東口のイメージと、人の流れを劇的に変えたと思います。
以前は薄暗い木立に囲まれていて、昼間でも近寄りがたい雰囲気の公園でしたが、ここを眺めのいい芝生の広い空間に刷新し、カフェと使い勝手のいい公共トイレを併設しました。そうしたら、ベビーカーを押していらっしゃる人の姿が、格段に増えたのです。
◆ここから駅前に多様性が出てきたんですね。復活のドラマは、マイナスからの出発でより際立ちます。
再開発にはもちろん大きな財源が必要であり、そのためには豊島区が独自に使える区民税の増収が非常に重要になります。町並みを整備しながら、区の人口を増やすことは、行政としては最大の課題なのです。