高野之夫豊島区長「長瀬智也さんがドラマで『危ない』と言った池袋西口も、もうあの頃の西口じゃない」
豊島区は消滅可能性都市をどう脱却したか(後編)
高野之夫(豊島区長)
コロナ禍とSDGs
◆コロナ禍は今後の方針にどのような影響を与えましたか。
コロナ禍のような予期せぬ災禍に見舞われたことで、改めて持続可能な自治体運営をしていくことが大切であると痛感しています。
豊島区は昨年、東京で初めて「SDGs未来都市」と「自治体SDGsモデル事業」にダブル選定されました。大きな責任を感じていますが、私たちがこれまで実施してきた政策は、SDGsが目指す「誰一人取り残さない」社会の実現そのものです。その意味でいえば、方向性に大きな転換はありません。
◆SDGs未来都市として、今後どのような政策を行う予定ですか。
私はSDGsの主役は子どもたちだと思っています。子どもの頃から身近な地域課題を学び、解決策を考え、行動を起こす、こうした「自分ごと」としてのSDGsの取り組みが、持続発展都市を創りあげていくのです。未来を担う子どもたちとともにSDGsを推進し、次世代へのバトンをしっかりつないでいきたいと思います。
今回『中央公論』からのインタビューのご依頼を、私は喜んでお受けしました。編集部にぜひ、お伝えしたいことがあったからです。
あの時、「消滅可能性都市」に名指ししてくれて、本当にありがとうございました。大きなピンチをいただいたことには、いくら感謝してもし足りない。心からそう思っているのです。
※本稿は『中央公論』2021年6月号の一部を再編集したものです。
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聞き手:清野由美(きよのゆみ)
ジャーナリスト。慶應義塾大学大学院修了。著書に『観光亡国論』(アレックス・カー氏との共著)、『変われ! 東京自由で、ゆるくて、閉じない都市』(隈研吾氏との共著)など。
高野之夫(豊島区長)
豊島区長。1937年東京豊島区生まれ。生家は池袋駅西口にあった古書店「高野書店」。立教中学校、高等学校を経て、60年に立教大学経済学部を卒業し、家業を継ぐ。豊島区議会議員、東京都議会議員を経て、99年に豊島区長に当選。現在6期目。