オンラインサロンに人は何を求めているのか

評価が揺れ動く今、その実態を見る
藤谷千明(ライター)

学びの場? それとも?

「著名人に学び自分のビジネスに活かしたい」にせよ、「自分磨きで婚活を成功させたい」にせよ、利用者の目的はなんであれ、人気のあるサロンの多くには自己啓発要素がある。そして、「学び」の場であることが求められているようだ。

 たとえば、西野亮廣のオンラインサロンは「研究所」、堀江貴文は「大学」、メディアアーティストの落合陽一は「落合陽一塾」、LINEやZOZOのスタートトゥデイといった有名企業を渡り歩いたインフルエンサーの田端信太郎は「田端大学」など(あるいは中田敦彦のようにYouTubeチャンネル名に「大学」を冠するケースも多い)、サロン名で学びの場である側面を強調していることも、それを示唆している。

 とはいえ、実際の学校法人ではないので、当然ながらオンラインサロンに参加しても学歴にはならない。二〇一八年頃、さまざまなインフルエンサーが「大学よりもオンラインサロンに入ったほうが学べる」といった趣旨の発言をし、極論がすぎるとSNS上で議論となった。「学びたい」という動機から、主宰者やメンバーと交流をはかった結果、自己研鑽できればいいのだが、そうではないケースも少なくはない。

 オンラインサロンは基本的に実名かつクローズドなコミュニティで、内部の情報は持ち出し禁止というルールのサロンも多いため、炎上や中傷のリスクをおそれずに気兼ねなく同好の士と盛り上がることができる。だが、その一方で横のつながりによる同調圧力の結果、ハラスメントが発生したり、特に必要もない商品を購入してしまったり、仲間の反応を気にして退会できなかったりということも発生しうる。非公開コミュニティだからこそ、詐欺の温床にもなりえて、国民生活センターでも近年オンラインサロンについての相談が急増していると注意を呼びかけている。

〔中略〕

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