印度カリー子　スパイスの尽きない魅力

無限に広がる味と香りの組み合わせ

──スパイスの魅力について教えてください。

　大きく分けて、二つあると思っています。一つ目は、スパイスを料理に一振りするだけで、格段に美味しくなったり、全然違う味に化けたりすることです。手間をかけることなく、簡単に料理を華やかにできます。

　もう一つは、それらを調合することで、香りのアレンジやバリエーションが無限大になることです。いくつかの種類を掛け合わせると、それぞれ単体で持っていた香りとは全く違ったものができる。つまり、一つひとつに個性がある上に、その掛け合わせによるアレンジの可能性が無限大であること、それがスパイスの魅力だと思っています。

──カリー子さんがスパイスに魅了されたきっかけは、大学1年生の頃、同居するお姉さんにスパイスカレーを作ったことだそうですね。

　そこでスパイスカレーに惚れ込んでしまいました。実はカレーは元々あまり好きではなくて、クミンなどのスパイスの香りも苦手だったんです。

　でもいざ作ってみると、タマネギ、トマト、にんにく、しょうが、お肉に少しのスパイスを合わせるだけでよくて、すごくシンプルな構造なのだと知りました。そこに他のスパイスを加えると、香りに変化がついてさらに美味しくなる。「すごいものを見つけてしまった」と、ダイヤモンドの原石を見つけたような感覚に陥りました。

　けれど、スパイスを使った料理は世の中にあまり浸透していませんでした。やはり、難しそうな印象があるからでしょうか。まず、名前を聞いてもどんな香りなのかよくわからないし、種類が多くて調合の仕方も難しそうだし。でも、私はそんなスパイスの世界が滅茶苦茶面白いということに気がついたので、あまり馴染みのない人にも届けたいと思いました。