速水健朗 団塊ジュニア世代の目に映った言論空間

速水健朗(ライター・編集者)

文化人カタログとしての「朝生」

──戦後生まれと戦前生まれの文化人が80年代にはまだ混在してました。


 80年代の文化人たちを一度に見ることのできる番組として、「朝まで生テレビ!」(1987年~、テレビ朝日系列)は、僕が中学生の時に始まりました。あれは、ちょうど社会に関心を持ち始めた中高生、会場にいた大学生など若い世代に向けて作られていましたよね。文化人と呼ばれるような大人たちが、大人げない喧嘩を披露するという。ただ当時の僕は「朝生」に出ている人たちの本業をほとんど知りませんでした。大島渚(1932年生まれ)の映画なんて観たことがないから"絣(かすり)を着てるおじさん"としか思っていなかったし、野坂昭如(1930年生まれ)も"CMで見る人"程度の認識でした。初期のレギュラーの中でも、この二人は、50代ですよね。比較的若かった猪瀬直樹(1946年生まれ)、舛添要一(1948年生まれ)らは戦後世代ですね。両者とも東京都知事になりましたけど、テレビで見る文化人でもありました。


(続きは『中央公論』2023年10月号で)


構成:寺西ジャジューカ 撮影:米田育広

中央公論 2023年10月号
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速水健朗(ライター・編集者)
〔はやみずけんろう〕
1973年石川県生まれ。コンピューター誌編集者を経て、2001年よりフリーランスのライター・編集者として活動を始める。音楽、文学、メディア論、都市論など幅広い分野で執筆。著書に『ラーメンと愛国』『1995年』、最新刊『1973年に生まれて』などがある。
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