パナソニックが日本より先に中国の「養老ビジネス」へ新技術を導入したワケ。中国新経済が急成長した背景にある政府の姿勢とは
日本企業にとっても大きなビジネスチャンス
西村友作
世界に先駆け、いち早くプラス成長を成し遂げた中国。2002年より北京に在住する中国・対外経済貿易大学国際経済研究院・西村友作教授によると「中国新経済が急成長している背景には、民間需要を取り込みながら政府主導で建設が進む『数字中国(デジタル・チャイナ)』が存在し、社会問題解決への政府の姿勢にもそれはあらわれている」と言う――。
中国新経済が急成長した背景
中国新経済が急成長した背景には、「社会問題の解決」という共通点がある。
プラットフォームであるアリペイなどの第三者決済サービスは、クレジットカードが普及していなかった中国におけるオンライン決済の利便性を高めた。
スマホの普及で広まったモバイル決済によって使い勝手の悪かった現金問題が解決へと向かい、次々と新ビジネスが生まれた。
配車サービスの登場で違法タクシーや「交通難民」問題が、シェア自転車で違法三輪タクシーが、フードデリバリーで食の安全問題が解決へと向かった。
新型コロナ禍での国民生活を支えたのも新経済だった。猛スピードで発展してきた中国社会には、先進国に住む日本人では想像もつかないような問題が依然として山積している。
「新経済2・0」の時代でも、この「社会問題」にビジネスチャンスがあるという構図は変わらない。
例えば、「数字社会」建設で重点分野に指定されている「教育」「医療」「高齢者介護」「育児」はすべて、中国で急速に進む少子・高齢化問題と関連する。
中国国家統計局が発表した2020年人口センサスの年齢構成比を見ると、60歳以上の人口は2億6402万人となり、総人口に占める割合は18・7%に達した。2010年の人口センサス結果と比較すると、0~14歳人口が14・5%増加したのに対し、60歳以上人口は48・6%も増えた。