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西村健佑 ドイツのエネルギー自立が意味するものは?――戦争により急変しつつある事態

西村健佑(環境コンサルタント)
写真提供:photo AC
 再生エネルギーに積極的という印象が強いドイツ。そのドイツでは、ロシアのウクライナ侵攻によって、どのような事態が生じているのか。現地在住の環境コンサルタントが読み解きます。
(『中央公論』2022年11月号より抜粋)

 ロシア(以下、露)のウクライナ(以下、宇)侵攻を受けて、ドイツ(以下、独)のエネルギー政策は破綻した。独は戦争による経済的、社会的ダメージを避けられず、景気後退も確実視される。

 日本で独の「エネルギー政策」を論じる際、環境主義というイデオロギーに基づいて再生可能エネルギー(再エネ)に前のめりになり、脱原発や脱石炭で安定供給を疎かにしたと、「電力政策」が批判されることが多い。これは正しい一面もある。他方で独はエネルギー転換に後ろ向きだとの視点からの批判はあまり見かけないが、独国内ではこの声も大きい。本稿では、この状況を踏まえて同国の動きと、現下の危機への対応を現地の視点で捉えたい。

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