東大の院も「全入時代」!? 定年後こそ大学・院に通おう
ただし、コツがある。その最大のポイントは大学(院)などの徹底活用なのだ。
※本稿は、中公新書ラクレ『「定年後知的格差」時代の勉強法』(櫻田大造著)の一部を抜粋・再編集したものです。
大学(院)活用に三つの追い風
定年後の学習スタイルとして、自学自習もいいだろう。独学できるのならばそれに越したことはないし、自分で計画を立ててやっていけるだろう。しかし、筆者は一つの案内として、カルチャーセンターや大学(院)などの活用を訴えたい。特にシニアおよび現役でご多忙なビジネスパーソンなど賢明なる読者諸氏にとっては、今こそ大学(院)を活用する絶好の好機である。三つの追い風、すなわち、①「働き方改革」、②「ウェブ会議」、③「少子化による大学(院)定員割れ」の風が吹いているからだ。
①の「働き方改革」で残業が減り、自由な時間が増えると、好きな勉強ができる時間も増えていく。②の「ウェブ会議」も仕事上、対面でなくても必ずしも問題ないことが明らかになったという意味で、勉強の追い風となる。ウェブ会議を使用しての大学(院)での指導は格段受けやすくなるからだ。最後の③「少子化による大学(院)定員割れ」は、読者諸氏の世代によっては、「ええええ?」と驚くべきことかもしれないので詳しく説明したい。
「アラ古稀」になった六〇〇万人以上の団塊世代は、家の事情で進学をあきらめた方も多々おられるだろう。また、大学の数そのものが当時は少なかったので、東大・京大というとスゴイ! と畏れ入ってしまうかもしれない。同様に、アラフィフの団塊ジュニア世代(七一~七四年生まれ)も七九三万人ほどいるので、大学受験ではかなり苦労しただろう。
二〇年に日本で生まれた赤ちゃんの数は八七万人強しかいない。日本人物故者の数が一三八万人なので、マイナス約五一万人以上の人口減(『産経新聞』二〇二一年二月二三日)。おおむね鳥取県並みの人口が、消えてなくなるレベルである。二〇二〇年の一八歳人口は約一一七万五〇〇〇人であり、これが一八年後には三〇万人以上減っていくことになる。この少子高齢化は大学業界にとって完全に「逆風」で、「大学業界氷河期」と称してよいだろう。必然的に大学入試の倍率は低下し、入学生のレベル(特にギリギリで合格した層)も下がっていく。