ブランド住宅街と混沌とした街が同居する新宿区。すべてを満たした街と風情のない街を抱える渋谷区の「輝く街・くすむ街」
牧野知弘の23区「街間格差」第3回
牧野知弘
「家を買うなら五輪後」とまことしやかに語られた東京23区。蓋を開けてみれば、資材の値上がりや「おうち時間」増加などに伴い、むしろ首都圏では高騰したマンション・戸建ても多くみられ「期待通りにいかなかった」という読者も多いのでは。しかし不動産事情に詳しく、多くのベストセラーを持つ牧野知弘さんはコロナ前に刊行した著書『街間格差』で今の変化を鋭く予言していました。その牧野さんが23区、それぞれの区でこれから輝く街、くすむ街をピックアップ! 今回は「新宿区」「渋谷区」です。
「新宿区」の輝く街・くすむ街
新宿区と聞くと、西新宿の超高層ビル群を想像しそうですが、区内の多くは住宅地です。山手線と明治通りが区内をほぼ南北に貫いており、この東西でだいぶ雰囲気が異なるのがその特徴です。
山手線の東側は面積が広く、武蔵野台地の東端にあたる四谷、市谷は外濠を挟んで中央線が走っています。
このあたりには、拙著『街間格差』で何度か紹介したようにブランド住宅街とされる場所が数多くあります。
四谷は駅西口から「しんみち通り」と呼ばれる飲食店街が連なり、三丁目から荒木町にかけては雰囲気の良い居酒屋やお洒落なバーが軒を連ねます。
下町の賑わいが好きで外食が多い人ならこの近辺、たとえば本塩町あたりに住めば困ることはないでしょう。