東京人の変化にいち早く対応した成功例・中野を核とする中野区。競争力を失いつつある<かつてのブランド住宅街>を抱える杉並区の「輝く街・くすむ街」
牧野知弘の23区「街間格差」第6回
牧野知弘
中途半端な印象の東中野、ターミナル駅のない西武新宿線沿線
中野駅から新宿寄りに進むと中央線の東中野駅があります。新宿区との境目となる神田川に接したエリアですが、こちらはあまりぱっとした印象がありません。特に駅のすぐ西側を幅員の広い山手通りが貫いているせいか、「街」としての統一感が損なわれてしまっています。
都営大江戸線の駅もありますが、駅前には居酒屋やパチンコ屋が並んでいるくらいで、特徴のない街並みになっています。中野や新宿に比べれば家賃は安いのですが、各駅停車しか止まらないし、なんとも中途半端な印象が否めません。
西武新宿線方面もあまり元気のない「街」が多いように思えます。
中井や新井薬師前を過ぎ、野方や都立家政、鷺ノ宮あたりとなると、さほど特徴の無いこぢんまりとした街並みが続きます。西武線の沿線の特徴は駅前が発達していないことにあります。駅のすぐ前から雑多な商店街や住宅街になっていて、人が集まるスペースが残されていません。目立つ店舗もスーパーマーケットの西友くらいでしょうか。
鷺ノ宮駅(写真提供:Photo AC)
また西武新宿線は東西に走るだけで、途中ハブとなりそうな駅もほとんどないため、朝夕などは駅の南北から押し寄せるバスや自転車で駅前がゴチャゴチャになっています。
これまでは増加し続ける人口を収容すべく延伸を続けてきた西武新宿線沿線ですが、コロナ禍を経て人々のライフスタイルが急激に変化する中で、「選ばれる」街となるためには、人を集めるためのキャラクターを際立たせていく必要があるように思えます。