「街」が開花した清澄白河、しないままの東雲を抱える江東区、南北に長い形と鉄道・道路が今一つフィットしていない江戸川区の「輝く街・くすむ街」

牧野知弘の23区「街間格差」第12回
牧野知弘
清澄庭園。江東区の輝く街とは(写真提供:Photo AC)
「家を買うなら五輪後」とまことしやかに語られた東京23区。蓋を開けてみれば、資材の値上がりや「おうち時間」増加などに伴い、むしろ首都圏では高騰したマンション・戸建ても多くみられ「期待通りにいかなかった」という読者も多いのでは。しかし不動産事情に詳しく、多くのベストセラーを持つ牧野知弘さんはコロナ前に刊行した著書『街間格差』で今の変化を鋭く予言していました。その牧野さんが23区、それぞれの区でこれから輝く街、くすむ街をピックアップ! 最終回となる今回は「江東区」「江戸川区」です。

交通利便性の高い「江東区」

江東区は隅田川と荒川に東西を挟まれ、南では東京湾に面した場所に位置します。区の南側はほとんどが埋立地で、運河が多いエリアでもあります。

東京都心から江戸川区とともに千葉方面へ繋げる役割を担っており、鉄道も区を東西に横断して江戸川、千葉方面へと延びる路線がほとんどです。

主な路線は北からJR総武線、都営新宿線、東京メトロ東西線、JR京葉線、東京メトロ有楽町線です。湾岸部にりんかい線、お台場を巡るゆりかもめなどがあります。

また江東区では、東西の鉄道路線の充実ぶりにひきかえ、南北路線は区の西側を南北に走る半蔵門線のみでしたが、現在では有楽町線の延伸計画が発表され、話題になっています。

有楽町線の豊洲駅から分岐された新路線は、これまで陸の孤島といわれた枝川を通過し、東陽町で東西線と接続。さらに千石に新駅が設置され、住吉で半蔵門線とつながる予定です。

さらに千葉と東京都心部間の物流網として京葉道路や首都高速湾岸線などの基幹道路が走っており、交通利便性はかなり高いと言えます。

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