小泉進次郎・環境大臣 脱炭素とサーキュラーエコノミーで自立分散型の社会を

小泉進次郎(環境大臣)

再エネ導入の三つの制約

─日本では東日本大震災以降、再エネへの転換を求める声が高まりましたが、諸外国に比べて取り組みが遅れています。その原因をどう見ていますか。

 再エネ導入に対する制約、阻害要因として、主に言われるのは三つあります。一つは電気の融通や需給バランスなどに関係する系統の制約、二つ目が太陽光パネルなど再エネの設備設置の地元との合意、理解を得ることが難しいこと。そして、三つ目としてコストが高いことです。この背景には日本の地形を含めた立地条件があります。太陽光パネルをたくさん設置できる広大な平地があるわけでもなく、洋上風力発電に適した遠浅の海も多くない。

 でも、もはや日本の将来は再エネとEV抜きには考えられない。課題を解決していくためにこの国会で環境省は、地球温暖化対策推進法の改正案を提出する予定です。その中では再エネが地域で合意形成が得られやすいように新たな仕組み作りを盛りこみ、地域における再エネの促進を後押しします。

─系統の制約とは具体的にどういうことで、どう対応する考えですか。

 例えば再エネの適地はどこかと考えたら、やはり北海道のポテンシャルは風力発電など相当高いんです。じゃあ再エネの適地である北海道から、再エネをなかなか生みにくい地域に大量に電力を流すことが容易にできるかというと、残念ながらそういったインフラがまだ十分ではない。さらに、電気の需要と供給のバランスを取る際、日本はまだ再エネを優先するルールになっていません。再エネを安定的に作り出し、供給できる、企業や家庭が再エネを利用しやすいルールを作っていく必要があります。

 また、自立分散型の小規模な電力ネットワークであるマイクログリッドを進めることも大切です。例えば家と家、もしくはEVと家。そして、それがつながっている地域は自立分散しているため災害にも強くなります。例えば、一九年の台風十五号の際、千葉県睦沢町では、このマイクログリッドという自立的な電力供給システムのお陰で長時間の停電を免れました。日本は基本的には大きく太い系統で、大きな発電所から大量の電力を大都市に流し込むやり方です。このような形を見直し、より災害にも強い形に変えていく。環境省としては自立分散型の社会を脱炭素社会とサーキュラーエコノミー(循環型経済)をあわせて作っていくことで、経済、社会をより持続可能で強靭なものに変えていけると信じています。

1  2  3  4