小泉進次郎・環境大臣 脱炭素とサーキュラーエコノミーで自立分散型の社会を

小泉進次郎(環境大臣)

石炭政策の見直しが転機

─五〇年までの脱炭素は、菅総理が昨年十月に表明して動き始めました。なぜこのタイミングで明確な目標設定が可能となったのでしょうか。

 一つ理由を挙げるとすると、石炭政策の見直しに風穴を開けることができたからです。安倍政権の時に私が大臣になってからずっと取り組んできたのは、まず石炭政策の変更です。当時、官房長官だった菅総理の理解もあって、今後新たに計画される石炭火力発電輸出プロジェクトに対する公的支援について、相手国のエネルギーの状況や課題等、脱炭素化に向けた方針をしっかり把握していない場合は原則として支援をしないという政策変更を実現することができました。そして、梶山弘志経済産業大臣は、三〇年までに、非効率な石炭火力発電をフェードアウトさせることを発表してくれました。この石炭政策の変更がなければ、菅総理がカーボンニュートラルを宣言する環境には至らなかったと思います。ですから、今の質問の答えからすれば、やはりこの石炭政策という、今までエネルギー政策と気候変動政策において、動かしたくても動かせなかった象徴的な政策を一つ前に動かしたことによって、カーボンニュートラル宣言が可能となったと私は見ています。そして宣言によって、今まで環境省が政府全体として議論をしたかったけども踏み込めなかったカーボンプライシング(炭素の排出量に応じて課税したり、排出枠を設定したりする脱炭素を促進する仕組み)にも踏み込めるようになった。昨年一年間は私の中で三つのCに風穴が開いた年と総括をしています。コール(coal)、カーボンニュートラル(carbon neutral)、カーボンプライシング(carbon pricing)、この三つのCです。

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