日本は何位? 新型コロナ対応国別ランキング

高山武士(ニッセイ基礎研究所准主任研究員)
 世界がその対応に苦戦している新型コロナウイルス感染症。感染拡大の防止と、経済活動の維持というトレードオフの中で、各国はいかに対処しているのか? コロナ対応を数値化し、ランキング形式で検証する。

 新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)が世界で流行し、二〇二〇年三月十一日には世界保健機関(WHO)がパンデミック宣言をした。それから一年が経過した今、異例の速度でワクチン開発がなされ、接種も開始されるといった朗報もあるものの、残念ながらコロナ収束の目途は立っていない。

 本稿では、各国のコロナの感染拡大を受けた対応や経済状況について比較、分析したい。

 筆者は医学や公衆衛生の専門家ではないため、その見地からコロナ対策を評価することはできないが、各国の状況について情報を共有することには意義があると考える(なお、以下で「国」と括る際には便宜上、香港などの地域も含まれることとしたい。中国と言った場合は中国本土を指すことにする)。

 コロナ禍において各国が苦悩しているのは、感染拡大防止と経済活動維持のトレードオフである。筆者は、各国のコロナ対応をこの二軸で評価すべく、各国の「コロナ被害」と「経済被害」を数値化する方法を取った。具体的には「コロナ被害」を累積感染者数、感染拡大率、致死率を用いて計算し、「経済被害」については、コロナによって失われたGDPの損失を計算している(詳細はニッセイ基礎研究所ウェブサイトで公表しているレポートを参照されたい)。この結果が下の図である(二一年二月十一日時点)。

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 各国のコロナ対応を評価している団体はほかにも多くあるが、筆者は分かりやすさを重視し、各国の「対応力」ではなく、実際のコロナ被害と経済被害の「結果」に注目した。コロナ被害と経済被害という結果で二軸評価する場合でも「感染防止」と「経済」のどちらを重要視するのかというウエイトの置き方によって差が出てくる。

 コロナ感染による死者を許さないという極端な立場からは、経済を完全に止めることが良い政策になる。しかし、実際には経済低迷によって自殺者が増えるという相関もある。筆者は「コロナ被害」にややウエイトを置いた評価を行っているが、評価方法が単純であるので、表の各項目のデータを参考に読者のそれぞれのウエイトで再評価することも可能であろう。

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