日本は何位? 新型コロナ対応国別ランキング
業種による経済被害格差は避けられない
「経済被害」を見る上では、国内産業において対面サービス産業がどれだけのシェアを占めるかが重要なポイントとなる。
飲食店が代表的であるように、対面サービス産業において三密を避けることは容易ではない。営業できたとしても感染防止策によって生産性が低下することは避けがたい。宿泊業も海外からの観光客の減少という影響を大きく受ける。つまり、観光立国など対面サービス産業のシェアが大きい国では、国内の感染を抑制できたとしても、完全収束せず、感染再拡大のリスクを抱える以上、平時とまったくおなじように経済活動はできない。スペイン(総合五〇位)などの南欧や、タイ(総合一九位)など東南アジアでは観光収入に依存する国が多く、コロナに対して脆弱と言える。
タイは、冬までは比較的感染者を抑制できており、コロナを蔓延させない点ではかなり上手くやっていると言えるが、観光業からの収入が多い国であるために、経済損失が大きくなってしまった。コロナ被害は小さいが、経済被害が大きくなってしまった事例と言える。
ほかにも各国の産業の特色から、それぞれの経済状況が見えてくる。
例えば経済被害の小さい台湾でも、コロナ禍によって個人消費はマイナス成長となり、域内の対面サービス産業も低迷している。それにもかかわらず、二〇二〇年も国全体でプラス成長を維持しているのは、台湾の主要産業である半導体製造が、コロナ禍によりむしろ好調になったことが要因となっている。同様に、トルコ(総合四位)も対面サービス産業については落ち込んでいるが、金融業の成長が経済損失をカバーしている。
財政支援の面では、日本(総合一四位)や米国(総合二九位)をはじめ、直接の現金給付を含めた支援策を実施している国も多い。こうした支援策は「経済被害」を一部軽減する可能性があるが、対面サービス消費に使える状況ではないため、必ずしも産業間の格差を埋められるわけではない。コロナによるショックで生じる収入減少や失業、倒産を避けるため、給付金のほか、資金繰り支援や雇用維持などの各種支援をすることも重要だが、脆弱な産業への被害そのものを避けられるわけではないからだ。
一方、対面サービス産業を直接支援する策(産業を絞った補助金による需要喚起)として、日本のGoToキャンペーン、英国(総合四六位)の外食産業支援策なども実施されてきた。これらは直接的に特定産業への需要を喚起し、経済被害を軽減することができる。ただし、GoToキャンペーンに批判が集まったように、接触機会が増えることで感染抑制に逆効果となる可能性もある。
つまり「経済被害」は経済構造の観点からは、コロナ禍で落ち込みやすい宿泊業、飲食サービス業、娯楽業などの産業シェアが小さく、対面での接触を避けやすい製造業や、オンラインでの業務代替が可能な情報通信業や金融業などの産業シェアが大きい国が、相対的に有利な状況だと言える。