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「再び第三者委員会の出番だ!」東芝のガバナンス不全を問う

求められるのは公正で真に独立した第三者委員会
八田進二(会計学者)
求められるのは公正で真に独立した第三者委員会(写真提供:写真AC)
東芝の株主総会が選任した調査者による報告書が6月10日に公表された。株主総会の議決権行使をめぐる会社側の圧力や、経産省との関係にまで踏み込んだその内容は、各方面に波紋を広げている。第三者委員会報告書格付け委員会委員などを務める会計学者の八田進二氏が、東芝問題の背景とあるべきガバナンスの姿を語る。
目次
  1. ガバナンス不全から脱却できていない東芝の悲劇
  2. 東芝の調査報告書の性格と内容
  3. 賽は振られた!再び第三者委員会の出番だ

ガバナンス不全から脱却できていない東芝の悲劇

2021年6月10日に公表された、会社法第316条2項に基づく東芝の調査報告書は、改善の見られない東芝のガバナンス不全と、監督官庁である経済産業省との不健全な関係を白日の下に晒した。

この報告書に対しては、海外ファンド側の視点に立っており全体像が不明だとして慎重な見方もあるが、それを踏まえても驚くべき内容の報告書といえる。

2015年に発覚した東芝の不正会計問題は、わが国を代表する著名企業の不祥事であり、国内外の関係者に大きな失望と不信感を与え、わが国の会計および監査制度の大幅な見直しの契機にもなった。

因みに、同年7月公表の第三者委員会の調査報告書では、過去複数年にわたる不正会計により、1,500億円を超す利益が嵩上げされてきたことが明らかになり、内部統制やガバナンスの不全が指摘された。

しかし、この報告書では、会社の屋台骨を揺るがすこととなったアメリカの大手原発メーカー、ウエスチング・ハウスの高値掴みによる買収問題と、一連の不正会計を見逃してきた監査法人の監査についての検証が除外されていたため、報告書自体の信頼性にも多くの批判が投げかけられたのである。

第三者委員会を巡るこの間の状況等については、拙著『「第三者委員会の欺瞞」報告書が示す不祥事の呆れた後始末』(中公新書ラクレ、2020年4月)で詳細に検証しているので、別途、ご覧いただきたい。

東芝はこの不正会計を理由とする有価証券報告書等の虚偽記載によって、74億円に上る課徴金を納付。担当監査法人も、金融庁から、課徴金21億円の納付と3か月の新規業務の受付停止処分等がなされた。

また、東芝株は、株券上場廃止こそ免れたものの、特設注意市場銘柄に指定された。その後、管理銘柄と東証二部への指定替えを経て、2021年1月に、3年半をかけて従前の一部市場に復帰したばかりだった。

この間、事業再編と健全な企業への再生を目指して、ガバナンスの中核を担う取締役会に、著名な経済人を登用したほか、ダイバーシティも推進し、いかにも優等生の体をなした体制を構築してきた。

しかし、昨年開催の定時株主総会における議決権の集計問題に端を発して、再び、ガバナンスの欠如が問われることとなった。その結果、一部の株主が圧力を受け議決権行使を行わなかったとされることや、議決権行使助言会社が圧力を受けたとの報道の事実関係を調査するために、本年3月開催の臨時株主総会で調査者が選任され、今回の報告書につながったのである。

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