待鳥聡史×善教将大 大阪どまりか、全国進出か 問われる政策・組織・党の顔

待鳥聡史(京都大学教授)×善教将大(関西学院大学教授)

積極的な支持ではない

待鳥 すでに多くの有権者が、維新を大阪の地域政党ではなく、国政でも自民党へのチャレンジャーだと見なし始めています。ただし、今はあくまで自民党のオルタナティブ(代替)として支持されているだけであって、維新の政策や魅力によって自力で支持を得ているわけではないですよね。全国政党へと跳躍するための分岐点にあるように思います。

 

善教 関西圏でいうと維新は、大阪府と大阪市の調整という難題を、政党を機能させることで解決しており、その点に対する積極的な評価で支持されています。しかし、大阪以外の地域や自治体でも、同じことができるわけではありません。

 

待鳥 東京の人からすると維新は突然出てきたように見えますが、大阪維新の会がやりたかったことは比較的明瞭なんですよね。

 大阪は歴史も誇りもあり、経済規模も大きく、人材もいる。ところが、自民党をはじめとする全国政党は、大阪を衰退しつつある一地方と見てしまいがちだった。だから大阪の有権者には「何より大阪のことを一生懸命考えてくれる人を選びたい」という思いがあった。その思いをすくい取ったのが大阪維新の会でした。 

 大阪のお隣の奈良県や兵庫県も実質的には維新系知事になったので、そこでどのくらい実績が出るかによって、評価も変わると思います。

 また、地方で実績を上げた政党が、政権担当能力があると有権者から評価されるかというと、必ずしもそうではない。実際、社会党が東京や大阪などの大都市部で首長を担っていた革新系知事の時代がありました。それで社会党、共産党の政権担当能力の評価が上がったかというと、そうではありません。国政で重要になる外交安全保障の分野で、信頼できないと思われたからです。

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