「富岳」の正体① 富岳のAI処理能力でGAFAも追い越せる
富岳があればGAFAに勝てる
─富岳用に開発されたCPU「A64FX」はHPクレイ(米国のスパコン・メーカー)にも採用されました。日本製CPUが初めて世界的に認められた快挙ではないでしょうか。
確かに日本が高性能の汎用CPUを作って、それがアメリカに売れたというのはこれが初めてでしょう。アメリカにはそういうCPUを作っている会社が山ほどあるから、(米国のスパコン・メーカーは)よほど強いモチベーションがないと、わざわざ日本製を買わないはずです。
─「富岳」は今回、AI用のベンチマーク・テスト「HPL─AI」でもダントツの首位でした。これまで日本はAI分野で米国や中国に遅れをとってきましたが、「富岳」の登場によって、今後はGAFAに追い着き追い越すことも可能となるとお考えでしょうか。
最近のAIの研究開発やビジネスにおいて、スパコンのようなHPC(高性能計算)用のコンピューティング資源はひときわ重要性を増しています。
スパコンが生まれた一九六〇~七〇年代には普通のコンピュータの三~一〇倍くらいの能力に過ぎませんでした。ところが今は一〇〇万倍以上の違いがあります。そうするといかにデカくて速いスパコンを持つかが勝負になってきました。
AIの分野も、「アルファ碁」(二〇一六年以降、囲碁の世界的強豪を次々と打破したグーグルの囲碁ソフト)辺りから、そういう世界に突入しました。アルファ碁に搭載されたAI「ディープラーニング」はスパコンを使った機械学習で鍛えられています。
それはアルファ碁のようなゲーム系に止まりません。画像系は当然そうだし、これから伸びてくる自然言語系も含め、AIの研究開発やビジネスは結局スパコンのようなHPCの勝負になるのです。この点において、世界最高のHPC基盤である「富岳」を使えばGAFAに対抗し、追い越すこともできると思います。