発売半年で初版の35倍!『三千円の使いかた』ヒットの裏にあった3年前からの伏線

あの本が売れてるワケ 若手営業社員が探ってみた

実は単行本時からの期待があった

発売直後から大ヒットの予感を感じさせてくれた『三千円の使いかた』ですが、文庫化される前、単行本が発売された時(2018年4月19日)も"仕掛け本"として期待されていた1冊でした。タイトルを決める時点から編集より営業に相談があり、書店員の方にヒアリングするなど、下準備があってから刊行に至ったとのことです。色々な人の想いを乗せた単行本刊行時にも、発売3ヶ月で2回の重版がかかり、上々の売れゆきでした。

その後半年以上経った頃、日本最大規模を誇る書店、丸善の創業150周年記念企画、"日本橋BOOKCON2019"への出展が決まりました。このイベントは、本の作り手である著者や編集者が読者と交流し、本の魅力をより直接的に届けるための企画として、丸善 日本橋店で開催されました(2017年10月に第1回が行われており、3日間で約3万8千人が来店するほど大きな規模です)。

2019年2月20日~2019年2月23日の4日間行われ、出版社70社、100のブースが出展。その中の1社として、 "どの新聞宣伝の本がよみたくなったか"という読者参加型の「新聞宣伝アンケート」と丸善ジュンク堂書店限定復刊企画を持って、弊社も参加したとのことです。その時、アンケートで一番投票数が多かった作品が、『三千円の使いかた』でした。その結果を受け、初版部数に対して2倍の重版をかけ、全国規模で仕掛けたのです。

(当時就活生だった私は、日本橋BOOKCON2019の開催を知って"これは行くしかない"と思い、開催2日目に来店していました。その後入社して現在に至るので、ちょっとだけ運命を感じてしまいます)

単行本時の実績があったからこそ、『三千円の使いかた』に対する期待が社内でも書店でも高くあり、それが大きな重版に舵を切れた一つの要素につながったのではないでしょうか。当時から動いてくださった書店の方には感謝してもしきれません。

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