主催する賞で他社の本が1位になる意味とは?
あの本が売れてるワケ 若手営業社員が探ってみた 連載第13回
その秘密は歴史が雄弁に語る ~新書大賞の起源~
「最高の一冊」を選ぶための新書大賞であることはわかりましたが、そもそもなぜ「最高の一冊」を選ぶことになったのでしょうか。
新書大賞が生まれたのは2008年のことで、その頃というのは、各出版社が新たに新書レーベルを立ち上げ、新書の売り上げ全体としてもかなり良かったという全盛期の、少し後です。また、これまでの専門書の一歩手前を担っていた教養新書に加え、よりライトで実用的な、新たな読者層を獲得する新書も多く刊行されるようになって久しい頃でもあります。
中公では言わずもがな、中公新書という古き良きレーベルを確立させています。また、2001年に創刊されて間もない中公新書ラクレも、その展開を広げていました。そんな中公新書・中公新書ラクレを擁する中公で、毎月たくさんの新刊が出るようになった今、おすすめの本を示すことができれば、読者の助けになるのではないだろうか?――そんな思いを抱いた中央公論編集部長(当時)のひらめきを、志を同じくした中央公論編集部員で実現させたのが「新書大賞」でした。
このひらめきにより同賞は、現在も大賞の発表を担っている雑誌『中央公論』の特集のひとつとして発足します。きっかけとなった「たくさん出されるようになった新書の中からおすすめの本を示したい」という思いに加えて、第一回発表の前年、2007年に同誌に掲載した特集「日本史を学び直すための130冊」の反応がかなり良かったため、ブックガイドとしての側面も強く持った賞を目指したそうです。