【最終回】フェアと本売りの未来を探る! ~中公新書60周年・中公文庫50周年フェアから「俺」フェアまで~

あの本が売れてるワケ 若手営業社員が探ってみた 連載回最終回

私のフェア作り体験記②~中公文庫50周年フェア~

そして今年、2023年は中公文庫が50周年となります。

文庫のフェアというと思い出されるのは、もはや夏の風物詩ともいえる新潮社の「新潮文庫の100冊」、KADOKAWAの「カドブン」、そして集英社の「ナツイチ」。

たった今私が「夏の風物詩ともいえる」と表現したことがまさにこのフェアの成功を意味するのではないかと思います。夏はポケモン!のノリで、「夏は文庫!」を成立させたのは大変な功績です。

さて、上の3社のフェアは主にエンタメ小説を中心に構成されており、それぞれの会社の特徴というとやや見えづらい気もします。当初は小社も、売れ筋をババンと並べるようなフェアを考えていましたが、書店員から「棚の前に平積みされている本を並べただけじゃつまらないのではないか」との意見をいただくなどして方針を転換しました。

もともと中公文庫の得意なのは、古典やエッセイ、思想、哲学など比較的渋いもの。そんなに大部数売れるジャンルではありません。しかし、最も売り上げに敏感なはずの書店側から「特徴を出せ」といった意見が出たことは重要だと思います。

文庫の棚は出版社別になっていることが多いと思いますが、中公文庫の棚はすこし奥まったところにあります。もし中公文庫の特徴が出たフェアが成功してファンが増えたら、店の奥の棚まで足を延ばすお客さんが増えるかもしれない。長期的な目線でフェアというものをとらえるという視点を学びました。

その後、全社員に「好きな中公文庫とその理由」をアンケートを実施し、そのコメントをPOPにすることにしました。一人で何冊も挙げてくれたり、思いもよらない本に票が集まったり、これほど「会社の個性」があらわれるのは面白いです。これによって、会社全体が一丸となって盛り上がってる感というのが出たのではないかと思います。

中公文庫50周年フェア.jpg

(紀伊國屋新宿本店2階)

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