まもなくAIを使って自己表現するのが当たり前になる。AIに「創作支援」してもらう際、必要になるものとは?

人工知能はウソをつく【第4回】
清水亮
清水亮「人間がAIを使ってアート、つまり自己表現をしていくことはこれからむしろ当たり前になる」(写真:Photo AC)
急速に進化を続ける人工知能。日本政府も戦略会議を立ち上げ、その活用や対策について議論を始めた。一方、プログラマーで起業家、そして人工知能の開発を専門とする清水亮氏は「信頼に値するAIを生み出せるかどうかで私たちの未来は変わる」と喝破する。その清水さんによる人工知能についての連載、今回のテーマは「AIはアートを作れるか」です。

第二回AIアートグランプリ開催決定

「驚きましたよ。もう第二回目を開催するんですか」

その男は開口一番そう言った。

「まだ前回から半年もたっていないじゃないですか」

8月1日、第二回AIアートグランプリの開催が発表された。第一回の開催は1月発表3月最終審査会と表彰式だから、確かに三月から数えるとわずか五ヶ月しか経過していない。

今回は8月発表で114日に最終審査会と表彰式を開催する。前回からわずか五ヶ月が経過しただけだが、生成AIの進化は止まるところを知らない。

前回の締切時点では夢物語だった動画生成や音楽生成が実用レベルになり、大規模言語モデルも自分なりにカスタマイズして使えるようにもなった。

最近では、文章と画像を同時に学習させることによって、一枚の写真から物語を創作するなんていう離れ技も登場した。さらにはChatGPTに言葉で指示するだけでWebサービスを開発して公開するようなプラグインまで現れた。

毎日のようにパラダイムシフトが起き、世の中は確実に生成AIによって変わろうとしている。

その地殻変動の最中、再びAIアートグランプリを開催することには大きな意義がある。

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