まもなくAIを使って自己表現するのが当たり前になる。AIに「創作支援」してもらう際、必要になるものとは?

人工知能はウソをつく【第4回】
清水亮

人間は本来クリエイティブな生き物である

こうして仕事の細かいところをAIが代わりにやってくれるようになると、人間はよりクリエイティブな仕事に集中できるようになるのだが、逆にクリエイティブなことを求められてこなかった人たちが突然クリエイティブであれと言われても、困ってしまうかもしれない。

ただ、実は人間というのは本来クリエイティブな生き物である。普段はそれを忘れているだけだ。

例えば、およそどれほど退屈な人間でも「次の食事は何を食べようかな」くらいは考える。「昨日のカレーの残りかな。いい加減飽きたな。カレーうどんにしようかな」などと考える行為そのものが、かなりクリエイティブなのだ。

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虫や動物は食事を選んだり考えたりしない。食べ方を工夫したり季節に合わせたりすることもない。

食文化を見れば、人間がどれほどクリエイティブな生き物であるかがわかる。とりわけ日本の食文化は多岐に渡り、ただ土着の料理を継承するだけでなく貪欲に海外の食文化を取り込み、アレンジし、いつの間にか自分のものにしてしまう。

ラーメン、カレー、ハンバーグ、トンカツといった定番の日本食のように見えるものは、発祥の地とは全く異なる変化・進化をしている。

「どうすればもっと美味しいだろうか」「どうすればもっと楽しいだろうか」ということを考えることこそ人間が生来持つ創造性なのだ。

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