人類はなぜ言語を獲得できるか <新書大賞2024>大賞『言語の本質』レビュー
人類はなぜ言語を獲得できるか
今回は認知科学者と言語学者が執筆した『言語の本質』が大賞に輝いた。
▼言語学の周辺と位置づけられてきた「オノマトペ」の深掘りに始まり、「言語の本質」とは何かという壮大なテーマに辿り着く知的興奮に満ちた書。著者二人の見解のやりとりが結実した点で、共著ならではの魅力と可能性も示している(日本経済新聞・桂星子)
▼第1章序盤、「ンブトゥ」「リン」「ゲンゲレンゲ」「ニェディ」「オジルオジル」の意味を問うクイズで心を掴まれない読者はいない。その後もずっと面白い(早川書房書籍編集部・一ノ瀬翔太)
▼AIとヒトの対比をしていくなかで、人間の身体性や非合理性が言語の習得に必要という面白い結論が導かれる(往来堂書店・笈入建志)
▼実験エピソードなどの具体的事例の繰り出し方が、新書のレベルとして秀逸(河出書房新社編集本部・藤﨑寛之)
▼娘がことばを覚え、発し、その意味を理解して使い分けたときの感動を思い出しました(早稲田大学生協ブックセンター・橋本歩)
▼誤解を恐れずに言うならば、言語とは哲学的な意味での他者。言語=人間=他者を根源的に捉えようとする意欲作(くまざわ書店八王子店・磯前大地)▼「言語を言語で解説する」難しさを鮮やかにクリアしていて、プロフェッショナルを感じました。オノマトペが「なぜ通じるのか」という疑問すら抱いていなかったので、これからオノマトペを見る目(聞く耳?)が変わりそうです!(ジュンク堂書店立川髙島屋店・濱中優里)
〔『中央公論』2024年3月号より〕
「新書大賞2024」上位20冊までのランキングと、有識者49名の講評など詳細は、2024年2月9日発売の『中央公論』3月号に掲載されています。
特設ページでも上位20位までのランキングを掲載しています。
「新書大賞」特設ページ https://chuokoron.jp/shinsho_award/