「北新地のママが感染させた」。志村けんさんのコロナ感染を巡り、最初にツイッターに<偽>情報を流した者の正体を追う
情報パンデミック――あなたを惑わすものの正体
読売新聞大阪本社社会部
SNSで事実よりデマの方が拡散しやすい理由
ツイッターでは事実よりデマのほうが拡散しやすい――。米マサチューセッツ工科大学の研究チームの調査結果だ。
研究チームは06~17年のツイッターの英文投稿12万6000件を対象に、事実に基づいた情報とデマの広がるスピードを調べた。1500人に届くまでの時間を比較したところ、デマのほうが6倍速いという結果が出た。
投稿への反応を調べたところ、デマには「驚き」「嫌悪」「恐れ」の感情を表す言葉が含まれている割合が高かった。研究チームは、デマのほうが速く広がるのは「『他人と情報を共有したい』という気持ちが喚起されるからだろう」と分析している。
中国の北京航空航天大学の研究チームは、中国のSNS「微博(ウェイボー)」の投稿約7000万件を対象に、絵文字などから「喜び」「悲しみ」「怒り」「嫌悪」などの感情を読み取り、どのような感情が拡散に影響を与えるかを調査した。その結果、最も拡散力があったのは「怒り」だったという。
誤情報の拡散の実態を研究する国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授は、こう警鐘を鳴らす。
「デマは『こんなことは許せない』という感情とともに広がりやすい。『この事実を広めなくてはならない』という気持ちになった時ほど、実はだまされている可能性がある」