管理職はなぜ「罰ゲーム」になったか
小林祐児(パーソル総合研究所上席主任研究員)

(『中央公論』2025年4月号より抜粋)
2024年、筆者は『罰ゲーム化する管理職』を上梓した。今、管理職として働くことの負荷が高くなり、まるで「罰ゲーム」と化してきたにもかかわらず、その流れが止まりそうもないことに警鐘を鳴らし、その修正を提起した本だ。
幸い、書籍は大きな反響があった。取材したわけでもない会社から「自社のことがそのまま書いてあった」という声を数十件いただいた。また、書籍の内容を社員に伝えてほしいと、これまでに50を超える企業で講演や研修などを行っている。この1年で、極めて多くの企業が共通してこの問題に直面していることを実感する。
なぜこれほど「共通」の問題が、日本の会社に遍在するようになったのか。管理職が「罰ゲーム化」した理由。それは、放置すると負荷が上がり続ける、まるでインフレ・スパイラルのような構造が企業の外と内に存在するからだ。このままでは管理職という組織の要は、いよいよ機能不全に陥る。本稿では、その構造をコンパクトにお伝えしつつ、最新の動向も加味して議論したい。